開け、甲子園の扉/宮古総合実業野球部
21世紀枠候補バネに
部員不足を乗り越え、夢の「甲子園」出場が現実味を帯びている宮古総合実業高校野球部。昨年の新人中央大会と秋季大会での活躍が認められて、今春に開催される第89回選抜高校野球大会(センバツ)の「21世紀枠」県候補にも選出された。存続の危機から一転し、甲子園の扉をたたく場所まできた同校の活躍に期待が高まっている。
部員は2年生7人と1年生9人の合計16人。マネジャーが2人。4年前から神里正太監督の指導を受けて実力を伸ばし、群雄割拠する県高校野球の中でもその実力が認められてきている。
4年前の2013年に野球部は存続の危機にひんしていた。この年の県新人大会と県秋季大会は連合チームので出場となり、1回戦敗退。県春季大会では部員不足で不出場となった。
14年度はようやく単独チームで大会に挑めるようになった。部員10人で挑んだ秋季大会ではこの年の夏の甲子園で8強入りした強豪の沖縄尚学に6-4で勝利し16強に進出。周囲を驚かせた。
存続の危機にあった離島の野球部が全国屈指の強豪校を破ったというニュースは大きな驚きを持って新聞、テレビで報道された。
神里監督は「あの勝利が今の起点になった。存続が厳しい状況の中で踏ん張ってくれた先輩たちのおかげで今の宮総実がある。選手の層の厚さでは宮高だと思うが、気持ち強さは負けないようになった」と笑顔になる。
その経験は昨年の後半から結果に表れるようになった。県新人大会では宮高を破り、初の地区代表として出場。結果もベスト8と好成績を収めた。
さらに、秋季大会では準々決勝で同大会を制した美来工科に3-4で惜敗。そのレベルの高い戦い方は高い評価を受けてた。
下里杏太主将は「今は甲子園出場に向け、みんな練習に気合いが入っている。去年の美来工科との試合で、あきらめない野球ができるようになった。21世紀枠の県の代表に選ばれたプライドを持って今度は美来工科を決勝で倒して実力で甲子園出場を勝ち取りたい」と意気込んだ。
那覇高校出身の神里監督。学生時代は1年後輩たちが2000年の夏の甲子園に出場。左利きの三塁手と捕手など、超個性派集団でセオリーに捉われないその野球は話題を呼んだ。
現役時代を振り返り神里監督は「当時の那覇高の監督はセオリーに捉われない野球で私は高校野球の素晴らしさを教えてもらった。今の宮総実も少人数ながらとても個性的でおもしろいので甲子園での活躍を期待している」と話した。