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【特集】新年号
2017年1月1日(日)9:12

水効果で農業発展/島の農業変える地下ダム

「宮古伊良部地区」の工事順調


仲原地下ダムの造成工事が順調に進む=城辺仲原地区、(写真提供=宮古伊良部農業水利事業所)

仲原地下ダムの造成工事が順調に進む=城辺仲原地区、(写真提供=宮古伊良部農業水利事業所)

 干ばつに苦しめられていた宮古の農業を劇的に変えたといわれる地下ダム事業。現在、宮古本島と伊良部島で新たな地下ダム事業が進められている。

 沖縄総合事務局宮古伊良部農業水利事業所(勝見崇所長)は、国営かんがい排水事業宮古伊良部地区を2009年からスタートしている。総事業費は523億円。

 この事業の主要工事は、水源施設(地下ダム2カ所、貯水池1カ所)、揚水機場・加圧機場6カ所、用水路を55㌔㍍、ファームポンドを2カ所設置するもの。

 このうち地下ダムは宮古本島の仲原地区と保良地区に新設する。仲原地下ダムは堤高55㍍、堤長2350㍍、有効貯水量920万立方㍍。保良が堤高26㍍、堤長2600㍍、有効貯水量が160万立方㍍。仲原地下ダムの2016年12月末時点の施工済延長は922㍍。保良地下ダムは今後工事が始まる。用水路については全延長55㌔㍍のうち、23・1㌔㍍の工事を完了している。

 仲原地下ダムの水の一部は伊良部導水路などを通って伊良部大橋を経由し伊良部島の牧山ファームポンドに水が送られ、伊良部の畑に散水される。伊良部大橋は2015年1月31日に開通したが、この大橋の橋梁(きょうりょう)内には農水管(80㌢㍍)が敷設されている。これを海底送水の工事と比較すると約50億円のコスト低減になるという。

 保良地下ダムの水は新設する保良送水路により比嘉集落後方にある仲尾峰ファームポンドに送水され主に城辺北部地区の畑で散水される計画である。

 宮古本島の地下ダム事業は、総事業費640億円で1987年~2001年に国営事業及び緑資源公団事業「宮古地区」として事業が行われ、砂川、福里地下ダムが造成され(合計総貯水量は約2000万立方㍍)、6カ所にファームポンドが整備された。受益農家は8160㌶で宮古本島と来間島に地下ダムの水が行き届いている。

 この事業は主に夏場のかんがい用水(6~9月の期別かんがい)として農家が使用する計画だったが、特定病害虫防除や本土直行便の就航など生産流通条件の改善を背景に、カボチャ栽培や施設野菜、マンゴーなどの施設果樹栽培が導入され、作付けの多様化が図られてきた。

 このため、水需要(1~12月の通年かんがい)が増加しており、これまでに整備した地下ダムだけでは用水不足が懸念されている。

 宮古島では農業用水需要が高まっている。かんがい排水整備事業が急ピッチで進められており、2005年にはかんがい面積は約3400㌶だったのが2013年には4300㌶に拡大した。それと比例して地下水使用量は05年には約950万立方㍍が13年には1970万立方㍍に増加している。

 既存の地下ダムだけでの農業用水不足を解消するため、国営かんがい排水事業宮古伊良部地区が新地下ダム造成をはじめとした工事を現在、精力的に進めている。

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