行雲流水
2017年1月17日(火)9:01
【行雲流水】(小さな輪、大きな輪)
新年に、小さな輪が連なってできる大きな輪をイメージしてみた。小さな輪の色はそれぞれ異なり、輪の形がひずむことはない
▼小さな輪が歯車なら、幾つもの歯車などが組織されて大きな輪ができる。時計である。その時計が動く時、小さな歯車たちは、それぞれに機能する。小さな輪が「人」ならば、大きな輪は絆やゆい、連帯である。人権を守る大きな体制が小さな輪の形を守り、小さな輪たちの個性がその色を多彩に染める
▼子どもたちの草野球やサッカーの幾つもの小さな輪から歓声が響く。「遊びをせんとや生まれけむ、戯れせんとや生まれけむ、遊ぶ子供の声聴けば、わが身さえこそ揺るがるれ」(梁塵秘抄)。子どもたちの健やかな成長を保障する大きな輪
▼あちこちの医療機関や介護施設の輪が大きな高齢者層の輪の安定と安らぎを支えている。同期のムヤイや島中にあるグラウンドゴルフの楽しい輪が、来し方の人生を互いに肯定し合っている
▼文化協会には学術、芸術、芸能、スポーツ、生活等の同好の輪が多数あり、それが連なって大きな輪、協会を組織している。そして大きな輪は小さい輪たちに光を当てている
▼大きな輪が歪んだとき、小さな輪たちは光を失う。弱肉強食の不公平なグローバリズムの巨大な輪が無数の小さな輪を曇らせている。世紀の妖怪と言われる欲望が肥大したヘッジファンドや正義の名で地獄を輸出する死の商人たちがうようよしている。この年は、「小さな輪、大きな輪」が本来の姿を回復する方向へ進む年でありたい。