行雲流水
2017年1月31日(火)9:01
【行雲流水】『一粒の種』
砂川恵理歌の歌う『一粒の種』は、恵理歌の優しく深い歌声と歌ができた背景の故に県内で評判になり、ドキュメント番組でも取り上げられた。またCDによって全国に広がり、パソコンを通して今でも多くの人が聴いている
▼『一粒の種』は歌う。「一粒の種に一粒の種に/ちっちゃくていいから/私もう一度一粒の種になるよ/出会って語って笑って泣いた/生きててよかったよ/あなたのそばでよかったよ」-「一粒の種に一粒の種に/ちっちゃくていいから/命の種に必ずなるから/すぐそばにいるから」
▼「一粒の種でいいから生きていたい」-あるがん患者の最期の言葉をもとにできた歌である。末期がんで死を受容しているようにみえた男性患者だが、ある日看護師の高橋尚子が見回りに病室に入ると、その患者は「死にたくない。生きていたいよ」と涙をぽろぽろこぼした
▼高橋は衝撃を受け、あなたの思いは私が受け取って、私がその種を蒔くからと、その想いを詩に書き、下地勇が曲をつけ、歌手の砂川恵理歌が歌っている。恵理歌はこの歌を携え、全国の学校や病院、福祉施設でコンサートを開いている
▼こんな声が寄せられている。「沖縄から飛んできた小さな一粒の種-この小さな種は生命の光を放って-この小さな種は僕の命そのもの-僕の愛そのものだ。」
▼この歌は実話をもとに生まれたが、人の心に響くのはその内容が普遍性を持っているからであろう。「命」の尊さと、それを支える「愛」、限りある命のはかなさ、「別れ」の切なさである。