行雲流水
2017年3月28日(火)9:01
【行雲流水】(自然を称える日)
昼の長さと夜の長さがほぼ等しくなる「春分の日」も過ぎた。「暑さ寒さも彼岸まで」と言われる。春分の日は彼岸の中日に当たるので、これから次第に暖かくなり、生物は生気を増していく
▼ところで、秋分の日は「祖先をうやまい、亡くなった人々をしのぶ」日で、春分の日は「自然をたたえ、生物をいつくしむ」国民の祝日である
▼まずは、豊かな自然をもたらす、惑星・地球の奇跡的な存在の妙に思いをはせたい。太陽からの距離が近すぎず、遠からずで、そのため表面温度が適当で、生物の存在に不可欠な水が液体の状態で存在している。また、もし地球がもう少し小さく、重力が弱かったら、大気を保持することができなかった
▼さらに、地球の自転軸が公転面に対して垂直でなく、傾いているため、季節がめぐり、この時期北半球の受ける光の量が日々増えていく
▼そして、今は春3月、歌が聞こえてくる。『どこかで春が』。「一、どこかで春が生まれている/どこかで水が流れだす。二、どこかでひばりが鳴いている/どこかで芽の出る音がする。三、山の三月東風(こち)吹いて/どこかで春が生まれてる」。俳人は詠う「天よりも輝くものは蝶の翅(山口誓子)。天文学者は謳う「人智は果なし無窮の遠(おち)に/いざその星かげ/きわめも行かん(『星の界』)。宇宙はヒトにおいて「意識」を生んだ。そして人は文化を創り、自然をたたえ、命あるものを尊ぶ
▼人間が自然を破壊し、欲望を肥大化させ、戦争で自滅することを、宇宙は許さない。