行雲流水
2017年4月18日(火)9:01
【行雲流水】(『標的の島―風かたか』)
ドキュメンタリー映画『標的の島・風かたか』(監督・三上智恵)がパニパニシネマで上映された。風かたかとは沖縄方言で「風よけ」、「防波堤」のことである。タイトルの「標的の島」には、再び島を戦場とすることで、沖縄を本土の、米国の「風かたか」にするのかという怒りと、「子らを守る風かたかにならねば」という思いが込められている
▼辺野古の新基地建設、高江で強行されるオスプレイのヘリパッド建設、宮古、八重山での新基地建設の反対運動や、機動隊によるその排除活動の生々しい様子が収録されている
▼琉球弧を含む第一列島線は、中国封じ込めの米国のエアシーバトル構想」の一環である。そして、核戦争へのエスカレートを防ぐため構想は「海洋限定戦争」に修正された。戦争では、離島奪還など自衛隊が主力になることが想定されている
▼辺野古で立つ85歳のおばぁは言う「私はぶれない。ぶれたら死んだ人たちに申し訳ない」。八重山のおじいは言う「弾が飛んできたら、こんな小さな島でどこに逃げるのか」
▼エイサーやパーントゥ、アンガマや豊年祭など、祖先から子孫へと連なる太い命の幹、権力を笑い飛ばし、豊饒に歓喜する農民の誇りと反骨精神、島々の自然と歴史が育んだ豊かな文化がスクリーンに映しだされた。「戦場」に対する「平穏な暮らし」の対比である
▼辺野古や高江に全国から集まった人々は「沖縄を返せ」と、公民権運動の「勝利をわれらに」を歌っていた。本来の沖縄を返せ、人権を尊重せよという、叫びである。