「ゴールデンウイーク」の過ごし方は人それぞれだが、旅行を思い立つ人が多い。地方の人は都会にあこがれ、都会の人は地方にあこがれるという。「明るさも五月の海よ大橋よ」（稲畑汀子）。宮古島には都会人の心をいやす自然があるようだ

▼大型クルーズ船の寄港も、今年は１００回を超える予定だという。中国沿岸・台湾・宮古・那覇を周航する５日間の船旅だ。大気汚染に悩む中国人の目には、宮古の空と海と砂浜はひときわ鮮やかに映ることでしょう

▼米国のタンカー船に乗り組んで１０年間、世界中の海をかけめぐって来た友人は「宮古の海は世界で２番目に美しい」と断言した。１番はカリブ海だとのこと。二つの海に共通するのは、サンゴ礁が砕けてできた真っ白い砂を下敷きに青い空を反映している点であろうか

▼クルーズ船客の心には「いつかゆっくりしてみたい」との灯がともることでしょう。将来の滞在型観光ツアーへの地ならし効果は大きい。さらには、地球環境の美しさと大切さに気がついて、心が洗われるかもしれない

▼「観光は人間の生存条件の一つになっている」（観光白書）という。観光は人間性の回復のために重要な役割を果たしているようだ

▼「人は生まれつき善だが、成長すると悪行を学ぶ」（孟子）とも、あるいは「人は生まれつき悪だが、成長すると善行を学ぶ」（荀子）とも言う。そのいずれにせよ、自然のふところに抱かれて人間の来し方・行く末を思うとき、善なる発想と言行に思い至るということのようだ。観光の効用は大きい。