行雲流水
2017年5月9日(火)9:01
【行雲流水】(ジョン・ナカマツ、リサイタル)
5月6日、琉球新報社主催の「ジョン・ナカマツ ピアノリサイタル」がマティダ市民劇場で開催された。奏者が世界的なピアニストであることと、北米沖縄県系移民3世であることで演奏会は関心が持たれていた
▼演奏会では、モーツァルトやブラームス、カバレフスキーのピアノ・ソナタ。それにショパンのスケルツォ、夜想曲、ポロネーズが演奏された。とどろくような力強さと、やわらかく、美しい抒情性を併せ持つ演奏に聴衆は魅了された。聴衆は、鍵盤上を舞い、跳ねる手や指の超技巧を視覚でも楽しんだ。アンコールでは「芭蕉布」が演奏され、拍手は最高潮に達した
▼ところで、このリサイタルをよりよく鑑賞するために、本番の前日、ブックカフェ・ブレスで、長濱隆主宰のレコード・コンサートが奏者を招いて開催された
▼最初に、ジョン・ナカマツ氏のヴァン・クライバー国際ピアノコンクールでの演奏と、優勝・受賞の様子がDVDで紹介された。次に、歓迎の意を込めて、「宮古の子守唄」と「宮古上布の歌」を島尻真由美のピアノ伴奏で平良晴美が歌った。最後に、ショパンのポロネーズ第6番「英雄」を聞いて、当日に備えた
▼ナカマツ氏は語った。「沖縄では多くの人が応援してくれた。こんな心の温かい人々の沖縄が祖父母の故郷だということに感動した」
▼「万国津梁」すなわち、世界の架け橋は、古来、琉球(沖縄)の象徴である。移民の苦労を乗り越え、2世、3世が世界に雄飛する姿は、沖縄の誇りである。氏にあらためて拍手を贈りたい。