【人生雑感】幸せな人生は、人生の節目、節目における良い人間関係の中で育つのです
沖縄国際大学名誉教授 福里盛雄
1 幸せな人生とは
幸せな人生とは、人間としての基本的欲求が充足されている人生であると考えます。人を創造したのは、神であります。神は、人を自分に似せて創造されました。そして幸せになるために、人に基本的欲求を授けました。その欲求は次のとおりです。
基本的欲求は、生存的欲求と心理的欲求とに分けられます。生存的欲求は生命の維持、種の保存などの人の健康面の健やかであることの欲求、心理的欲求は人の内部の精神の充実に関する欲求をいう。心理的欲求は、愛の欲求、連帯、協調、自己存在の欲求、自由と自己責任の欲求、楽しみの欲求に分類しています。
これらの欲求が満たされている人生は幸せな人生だといえます。
生存欲求とは、健康で長生きし、よい子孫を残したいという欲求です。
愛の欲求とは、愛し愛されたいという欲求です。連帯協調の欲求とは、他人と重荷を分かち合い、互いに譲り合い、協力して生きていきたいという欲求です。
人間の基本的欲求は、自分一人では満たすことはできません。他人との関係において可能となります。ですから関係が生まれれば、人は生きることが可能となります。
幸せな人生を築くためには、その人間関係が調和のとれたよいものでなければ、かえって人は、その人間関係の中で、もだえ、苦しみ悲しむことになります。
2 良い人間関係をつくるには、人生の節目において適切な行為をすること
人生の節目とは、ものごとの区切りを指します。それは、一日一日が人生の節目かもしれません。なぜなら、長い人生も、一日一日の積み重ねであり、長い年月の人生も一日一日に区切りをつけることができるからであります。あるいは一年一年が節目になる場合もあるでしょう。また、一季節、一季節が人生の節目になるかもしれません。
ポールは人生を年とし、それを四等分にして、年ずつに分けて、各年を春、夏、秋、冬の4区切りにして、それぞれを人生の節目としています。その分け方をポール・トゥルニエの「人生四季」と言っています。
その節目節目は、幸せな人生を築くためになすべき行為の特質の区切りでもあります。それぞれの節目になすべき行為をしておかないと豊かな実りある人生を期待することは、大変困難だと思います。
例えば、春は、人の幼年時代に当たり、人生のスタートで準備期間です。そこにおいて、十分な準備ができていないと、次にくる活動する人生の夏の効果が期待不可能となります。夏の活動が期待不可能となれば、秋の実りも期待できないことになります。秋の実りが期待できなければ、冬の成熟した生活も期待できないし、精神的に貧しくなり、寂しくなり、人生の夕暮れの悲哀の涙に浸ることになります。
私たちは、豊かな実りある幸せな人生を築くために、人生の節目、節目の重要性を深く認識して、今、自分は何をすべきか、また、しなければならないかを考え、常に自分が今やっていることが適切か否かを強く吟味し、やって無意味なことは、止める決断をする勇気を持ち、やらなくてはならないことをやり通す勇気と英知を身につけなければなりません。
人生の節目、節目においていかに対処すべきか、自分自身の心を見張っていなければなりません。他人と良い関係をつくり、たった一度限りの人生を幸せに生きたいものです。