平和希求、世界へ発信
沖縄全戦没者追悼式
戦後74年 玉城知事が宣言
【那覇支社】戦後74年目の「慰霊の日」となる23日、沖縄戦で多くの犠牲者が出た最後の激戦地、糸満市摩文仁の平和祈念公園で沖縄全戦没者追悼式(主催・県、県議会)が行われた。玉城デニー知事や安倍晋三首相のほか、一般参列者ら5100人(主催者発表)が戦争犠牲者の冥福を祈り恒久平和を誓った。
玉城知事は、平和宣言の中で「先人達から脈々と受け継いだ人を大切にする琉球文化を礎に、平和を希求する沖縄の肝心(ちむぐくる)を世界に発信して平和の大切さを次世代に伝えていく」と語った。沖縄方言と英語で「沖縄の肝心を後世に伝えていかなければならない。平和な世界を構築していく」とのメッセージも述べた。
米軍普天間飛行場の辺野古移設については「今年2月の県民投票で圧倒的多数が辺野古の埋め立てに反対していることが示された。結果を無視して工事を強行する政府の対応は、民意を尊重せず地方自治をもないがしろにするものだ」と述べ、政府を強く批判した。
安倍首相は、「戦争の惨禍を二度と繰り返さない。この誓いは令和の時代でも決して変わることはない。平和で希望に満ちあふれる時代をつくり上げていく。そのことに不断の努力を重ねていくことを、改めてみ霊に誓う」と語った。
また、昨年度に沖縄を訪れた観光客が約1000万人となったことにも触れ、「沖縄が日本をけん引し21世紀の『万国津梁』として世界の懸け橋となることが現実のものとなりつつある。沖縄の振興をしっかり前に進めていく」とした。
今年の「平和の詩」は、糸満市立兼城小学校6年の山内玲奈さんが、自作の「本当の幸せ」を朗読した。山内さんは「お金持ちになることや有名になることが幸せではない」「家族と友達と笑い合える毎日こそが本当の幸せだ。未来に夢を持つことこそが最高の幸せだ」と力強く訴えた。