ミヤコサワガニ危機/生息地に外来生物増加
藤田さん(琉球大学非常勤講師)が指摘
市総合博物館(奥平徳松館長)で14日、第14回企画展に関連した講演会が開かれた。水生生物に詳しい琉球大学非常勤講師の藤田喜久さんが「宮古島の生物が危ない~外来生物の影響~」と題して講演した。
その中で藤田さんは「世界で宮古島の湧水(ゆうすい)だけに生息する新種ミヤコサワガニの生息地に、八重山から持ち込まれ捨てられた外来生物のヤエヤマイシガメが、最近異常に増えている。カニを捕食しているのが考えられ、ミヤコサワガニは危機的な状況にある」と警鐘を鳴らした。
企画展「宮古にもちこまれた動物たち~どうしてここにいるんだろう~」は、7月21日~今月29日までの日程で開催されている。藤田さんは、その企画展に全面的に協力。宮古の水生生物を調査・研究して、今年で6年になる。
藤田さんは「宮古には外から持ち込まれたニホンイタチやインドクジャク、シロアゴガエル、ミシシッピアカミミガメ、グッピーなどの外来生物が多い」と指摘した上で「外来生物の命を奪うことはしないで、みんなでいろんな知恵を出して解決していかなければならい」と提言した。
また藤田さんは、ミヤコサワガニの生活史の特性として▽湧水中で繁殖し、産卵する▽海を渡って分布域を分散できない-などと説明し「ミヤコサワガニによって宮古島完全水没説は再考が促されている。ミヤコサワガニは、宮古島の一部が水没しなかったという歴史の生き証人である」と強調した。
さらに藤田さんは「ミヤコサワガニの生息地は4カ所。その生息地周辺では、ヤエヤイシガメが繁殖している。他の島でカメを研究している研究者は『間違いなくカニを食べているだろう』と考えている。今後ヤエヤマイシガメの胃袋の調査が必要」と述べた。