学名のない新種と判明
琉球大学の成瀬特命助教授ら
国際科学誌に発表
琉球列島に生息するミナミヒメシオマネキ、ミナミコメツキガニ、コメツキガニの3種が、学名がついていない「新種」であることが26日琉球大学・亜熱帯島嶼科学超域研究推進機構の成瀬貫特命助教らの共同研究や台湾の研究者らによって明らかにされた。
宮古では、3種とも内湾の砂地などで生息しており、今後子どもたちの学習の場として改めて観察されそうだ。
沖縄本島以南に分布するミナミヒメシオマネキは、これまでの学名が「Uca neocultrimana」。しかし、成瀬特命助教らが調べた結果、学名のカニは、南太平洋のフィージー以東にのみに分布するカニで、琉球列島から台湾、フィリピン、インドネシアなどに分布するミナミヒメシオマネキではないと断定。学名が付けられていない新種であることが分かった。この成果は、今年1月に発行された国際科学誌「Zootaxa」に掲載され、ミナミヒメシオマネキは「Uca jocelynae」と命名された。
また、軍隊ガニの名で知られるミナミコメツキガニは、琉球列島から中国沿岸にかけて広く分布する学名「Mictyris brevidactylus」と呼ばれていた。しかし、オーストラリアや台湾の研究者が詳細に研究した結果、琉球列島の集団のみ遺伝的・形態的に他の集団から異なっていたことが分かった。このため、琉球列島のミナミコメツキガニは新種「Mictyris guinotas」と命名し、今年6月に発行された国際誌「crustaceana」に掲載された。
一方、コメツキガニは本州から琉球列島、韓国、中国北部に分布しているとされてきた。しかし、台湾の研究者により琉球列島の集団が本州ほかの真のコメツキガニと遺伝的・形態的に異なっていることを突き止めた。それで琉球列島の集団を新種「Scopimera ryukyuensis(仮名リュウキュウコメツキガニ)」として命名した。この成果は、1月発行の国際科学誌「Zootaxa」に掲載された。
成瀬特命助教は「今回3種に見られたような例がまだまだ発見される可能性がある。琉球列島の真の生物多様性を評価するためには、このような研究を地道に続ける必要がある」と話した。
学名 国際的命名規約の下、生物の種に与えられる名称。学名が付いていない種は未記載種であり、未記載種を記載する論文が発表された時点で、それらの種は新種として新たな学名が付けられる。