「宮古方言語彙集」を寄贈
伊良部出身 故新里氏の著書/市立図書館に
伊良部長浜出身で東京で宮古方言研究会の講師をしていた故新里(あらざと)博氏の著書「宮古方言語彙集 付録『植物の生態など』」がこのほど、渋谷書言大学事務局から発刊され12日、編集・発行に携わった妻の信子さんから市立図書館に寄贈された。信子さんは「宮古方言の存続を願い、かねてから取り組んでいた語彙集を活字にすることができた。宮古島の皆さんに活用していただけたら幸い」と話している。
新里氏は巻頭に「ここで取り上げた方言の数々は、1980年当時、現地で皆様にお世話になって採集した資料であり、当時の宮古の姿」と記している。関係者によると「方言の継承が難しい昨今だが、現在、また将来においても貴重な資料として役に立ち続けることと思う」と話している。
新里氏は1923(大正12)年生まれ。國學院大學大学院日本文学研究科博士課程修了。著書に「小倉百人一首新注釈」、「宮古古諺音義」「宮古方言に関する小論集」「現代宮古方言の語句に対応する古文献の語句」。2006年~17年まで「宮古方言研究会」の講師を務めた。18年死去。
宮古方言研究会は、新里氏を講師に、伊良部仲地出身の高橋尚子氏が世話役となり東京渋谷で発足。毎月1回、15~20人が集まり渋谷の区施設「リフレッシュ氷川」で、新里氏の「宮古古諺音義」の本を中心にした講義が行われた。
寄贈されたのは3冊で、友利幸正館長は「深く感謝する。当館の貴重な資料として郷土エリアに配架し、広く市民に提供していきたい。ご厚志に添うよう保管・管理に努めていく」と話した。