120年前の公文書発見/「宮古郡各村字名鑑」
忘却の字名、多数記載/群馬県「名雲書店」が所有
120年以上前の明治時代に県土地整理法に基づいて宮古、多良間、八重山地区で取り組まれた地籍整備・土地整理事業に関する文書がこのほど、関東地方で見つかった。現在、所有している「名雲書店」(群馬県)の名雲純一社長が6日、市役所に大城裕子教育長を訪問し、見つかった文書について情報交換を行った。大城教育長は「今ではその名前も忘れ去られた宮古地区内の『字名』がさまざまな地域に存在していたことが分かるとても貴重な資料だ」と話した。
見つかった資料の表紙には「八重山・宮古郡各村字名鑑」のほか、「測量課」「明治三十六年三月」の文字がある。
さらに、その側面には「臨時沖縄県土地整理事務局」との赤い文字があり、底の部分にはネズミにかじられたと思われる部分はあるが「八重山郡、宮古郡」の文字も読み取れる。
県公文書館のホームページでは、県では1899年(明治32)制定の「県土地整理法」に基づき、大蔵大臣直轄の「臨時沖縄県土地整理事務局」によって、地籍整備・土地整理事業が実施されたとあることから、そのときにまとめられた資料であることが分かる。
さらに、同事業において宮古・八重山では1902年(明治35)に事業完了していることも記されており、今回見つかった資料の表題とも一致する。
そのほかにも公文書館によると、こうした行政文書のほとんどが沖縄戦時の空襲で消失したことが示されていることから、今回見つかった資料がいかに貴重かがうかがえる。
名雲さんは「突然、東京の古書市場に出てきた。持ち込んだ業者によると横浜方面から出てきたらしい。こういう資料を集めている人が所有していたと思う。宮古にも沖縄本島にもすでに存在しないとても貴重な資料であり、奇跡の一冊とも言える」と話した。
今回の資料について、大城教育長は「今後の宮古研究に生かせる貴重な資料に出会えた」と述べた。
名雲さんは、市に買い取りの意思があれば販売することも検討しており、市教育委員会では財政課とも相談しながら、買い取りや今後の市史編さんにも活用したいとしている。