平良さん、医療功労賞/障がい者歯科に長年尽力
在宅・老健施設でも訪問診療
KAZUデンタルクリニック院長で歯科医師の平良和枝さん(62)=平良西里=が、第50回医療功労賞(読売新聞社主催)を受賞した。都道府県から各1人で、宮古からの同賞受賞は過去にも3人ほどしかおらず、平良さんがライフワークとして取り組む障がい者や高齢者に対する歯科治療・保健指導が高く評価された。平良さんは「これからも宮古島の皆さんのためになるように、活動をできるだけ長く継続していきたい」と話した。
医療功労賞は過疎地域や離島、被災地など国内外の困難な環境下で、地域住民の健康増進・疾病予防・治療業務に献身的に携わっている医療従事者、障がい者や難病者の支える活動を行っている医療・福祉・介護分野の関係者を表彰。1972年に始まった。
平良さんは88年に市平良西里でKAZUデンタルクリニックを開院。以来、一般市民の歯科診療だけでなく母子、学校、障がい者、高齢者の診療・保健指導に尽力している。
特に2000年に学校歯科医となった宮古特別支援学校では、さまざまな障がいのある子供たちに対し、程度に応じて、視覚教材を活用したブラッシング、アイシング指導、健康診断が苦手な生徒には保健室の入室、器具の訓練など事前学習を取り入れながら行っている。寄宿舎生活を送る生徒に対しては、就寝前の歯磨き指導をしている。
県の協力医として島内の障がい者歯科診療を引き受けており、在宅治療や複数の障がい者施設、老人保健施設での治療・保健指導を行っている。
また地区歯科医師会長在任時には、新型コロナウイルス感染が拡大し、離島医療体制の強化を図るため、県内で最も早期に、歯科医師のワクチン接種協力医を募った。
平良さんは「歯科口腔(こうくう)衛生を普及させたいという気持ちと、障がい者を診たいという思いで開業した。地道に障がい者、子供、介護の現場での活動が評価されたと思う。三十数年間、この活動を続けられたのは、支えてくれたスタッフのおかげ」と受賞が決まった時、まずスタッフに感謝の気持ちを伝えたという。
「歯科医療は命に関わるような重篤なものは多くないが、その人の人生を支えるという意味では重要な医療分野。他の医科と違い、歯科は縁が出来れば、子供の頃から食べられなくなるまで、ずっと診られる特殊な分野。その人の人生そのものを見られることに感謝している」と話した。
例年、受賞伝達式が県庁で行われるが、今回は新型コロナウイルス拡大の影響で中止となった。