一席に馬場さんの「山の女」/第5回宮古島文学賞
二席仲間さん 佳作鳥光さん/島テーマ、79作品から選出
市文化協会(饒平名和枝会長)は4日、第5回宮古島文学賞の一席に、宮崎県在住の馬場広大さん(28)の作品「山の女」を選出したと発表した。二席には北海道在住の仲間望さんの「夜行島」、佳作には千葉県在住の鳥光宏さん(62)の「-銀游回帰-『スクが来た!』」が選ばれた。授賞式・祝賀会は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から中止が決定している。
「島」をテーマとした短編小説が対象となる宮古島文学賞。第5回は昨年10月1日から1カ月間、作品の募集を行い、19都道府県から79作品の応募を受け付けた。
1次、2次選考で最終選考候補作を8作品に絞り込み、最終選考会を3日に開催。選考委員長の椎名誠氏(東京)、選考委員の大城貞俊氏(沖縄本島)、もりおみずき氏(宮古)がリモートで審査を行った結果、悲恋の死を遂げた女性の霊を供養する盆踊りが行われる島を舞台に、年老いた主人公の女性が人生への思いを深める物語を描いた馬場さんの「山の女」が一席を獲得した。
選考委員からは「揺るぎない文学性を持った描写力に優れた作品」や「共感が持てる上質な感慨を持つ作品」、「生と死を見詰める神話の世界を構築したような作品」といった感想や、「素晴らしい作品に出合えてうれしく思った」などの声が聞かれた。
饒平名会長は入賞作品について「一人の女性の力強く生きる姿や自然が織りなす情景の豊かさや美しさ、『島』を追求し思考を深めた新鮮な作品、命の回帰がテーマとなった作品がよどみのない文章でまとめ上げられている。素晴らしい作品が選出されたことを主催者としても大変喜ばしく思う」との考えを示した。
入賞作以外にも良作が多数あったと指摘する饒平名会長。「島に伝わる史実をモチーフに独自の視点から掘り起こした心揺さぶる作品、時代を反映する近未来的な世界を描いた作品、島の持つエネルギーに触れ生きることを問い直す作品など、魅力あふれる作品が多くあった」と語った。
入賞作品は市文化協会のホームページで掲載される予定となっている。