ジュゴンの喰み跡確認/環境省調査
池間東部など3カ所/周辺海域に生息の可能性
環境省が実施した「2021年度ジュゴンと地域社会との共生推進委託業務」の結果概要がこのほど発表され、宮古地区で実施した池間島東部など3カ所すべてで、絶滅が危惧されているジュゴンのものと思われる海草藻場の喰み跡が確認された。宮古を含む先島周辺の海域については特に生息の可能性が高いとして、詳細な調査を行う必要があるとしている。
この調査は、沖縄本島北部と南西諸島で行われ、南西諸島の宮古においては伊良部島の佐和田、来間島東部、池間島東部の3カ所が対象となった。
調査結果では、宮古の調査箇所すべてでジュゴンの喰み跡が確認された。さらに、確認された喰み跡すべてにおいて、その特徴である海草類の地下茎が露出していることを確認。地上部のみを食べるアオウミガメのものとは明確に異なることが確認されたとしている。
喰み跡の確認は、潜水調査で行われ、伊良部と来間は昨年末に、池間島は今年の2月の調査で確認された。
そのほか、昨年8月に行われたドローンによる調査では、佐和田地区沖合でジュゴンと形状が類似した大型動物が撮影されたが、解像度が不十分なことから種の特定はできなかった。
そのほかにも、佐和田の海草藻場では、大型動物のふんも採取。DNA分析を行ったがこちらも種の特定はできなかったとしている。
今回の調査結果を踏まえて同省では「宮古や八重山地域の周辺海域ではジュゴンの生息の可能性が高いことが再度確認された。今後は餌場としての海草藻場の利用状況やモニタリングやその保全に関する教育普及の実施などを検討していくことが必要と考えられる」との見解を示している。
池間島周辺でもジュゴンの喰み跡が確認されたことについて、池間自治会の仲間広二会長は「ジュゴンが食べた跡の海草を池間島では以前から『ジャンヌヒギ』(ジュゴンのひげ)と呼んでいた。私もその食べた跡を何度も確認しており、ジュゴンが生息していると思っていたので今回の調査結果でそれが確信に変わった。池間にとっては素晴らしいニュースだ」と喜んだ。