軽石漂着の浜「自然回復」/漂着ごみ回収は行政主体で
山口氏(防衛大名誉教授)が訴え/海洋ごみ調査結果
先島諸島の海岸で海洋ごみの調査を長年行う防衛大学校名誉教授の山口晴幸氏(73)が2日、本社で調査結果を明らかにした。今回は海洋ごみに加え、砂浜や漁港などに漂着した軽石も対象とした。軽石について山口氏は「数年ほどで本来のサンゴ白砂浜への自然回復が期待される」と見通しを示した。年々深刻化する漂着ごみの回収除去作業は、県や市の行政機関が主体で行う必要性を訴えた。
山口氏は1998年から宮古・八重山などでの漂着ごみ調査を開始。昨年はコロナ禍で先島諸島での調査は中止したが、今回は3月21日~5月2日までの期間に、宮古と八重山の10島の89海岸19港で実施した。
軽石は、台風などで流出した際に小粒子化するという。拡散移動や土粒子・藻等の付着・吸着で沈降し、海岸への影響は徐々に低減すると分析。砂浜に残存する軽石も新たに打ち上がる砂と混在して、数年ほどで白い砂浜への自然回復することが期待できるという。
漂着ごみは、ボランティア組織や地域住民によって回収されており、各海岸で「かなり入念な清掃活動がなされた痕跡がうかがわれた」と評価した上で、「持続的な海岸保全システムを確立するために、ボランティア活動では限界がある。回収除去作業は県・市町村等の行政機関が主体となるべきである」と強調した。
漁網などが海岸奥の植生帯に食い込み、絡み付きが発生していることを確認し、海浜域の動植物生態系へのリスクが甚大化しつつあると指摘した。
海洋ごみの根本を解決するには、流出元である東アジア諸国と軽減抑制に向けた新たな行動計画や協議会が必要だとして、国に働き掛けることを県に求めた。
大きさ5ミリ以下に微小化した「マイクロプラスチック」は2016、17年の調査結果を示した。宮古島の平均数量が1平方メートル当たり2766個と、県内平均より高く、新城海岸は1万個を超えた。