宮古郡字名鑑 原寸の復刻版を発行/名雲書店
忘却の字名、多数記載/市史編さん事業に活用へ
このほど、関東地方で見つかった120年以上前の明治時代に県土地整理法に基づいて宮古、多良間、八重山地区で取り組まれた地籍整備・土地整理事業に関する公文書「八重山宮古郡各村字名鑑」の復刻版が4月15日に発行された。この公文書は、今では忘れ去られた宮古各地の字名が多数記載されており、市教育委員会もその重要性を認めている。同委員会では今後の市史編さん事業にもこの資料を活用していく予定となっている。
復刻版の販売元は、この公文書の原本を所有する群馬県の「名雲書店」(名雲純一社長)。
定価は1万3200円(税込み)。販売は「アマゾン」や「ヤフーオークション(即決価格)」などで行っている。
今回の復刻版は、同名鑑だけでなく、琉球王国末期の2大事件(琉球事件、ペルリ水兵事件)の記録も盛り込まれ、全ページ原寸のオールカラー印刷。
復刻版について、名雲社長は「収録されている宮古の字数は845にものぼり、忘れ去られた字名も多い。おそらく先島諸島の字名を調査した最初で最後の貴重な資料だと思うので、古来より伝承の字名を再発見して後世に伝える資料になることを願っている」と話した。
昨年末に名雲社長は、市教育委員会を訪れて大城裕子教育長や生涯学習振興課の担当職員と、見つかった資料について意見を交換。
その際に、大城教育長は「今後の宮古研究に生かせる貴重な資料に出会えた」と喜んでいた。
さらに、同課も今後の市史編さん事業については「自治会編」に取り組む予定で、その土台となる資料として位置付けている。
名雲社長は「当初100部程度の印刷を予定していたが、各方面から問い合わせが多いことから300部に増やした。教科書には載っていない歴史や文化に触れられる資料なので多くの島の子どもたちにも読んでほしい」と話した。
県公文書館のホームページでは、県では1899年(明治32)制定の「県土地整理法」に基づき、大蔵大臣直轄の「臨時沖縄県土地整理事務局」によって、地籍整備・土地整理事業が実施されたとあることから、そのときにまとめられた資料であることが分かる。
さらに同館によると、こうした行政文書のほとんどが沖縄戦時の空襲で消失したことが示されていることから、今回見つかった資料がいかに貴重かがうかがえる。