水道水の有収率88%/無効水量 年間79万トン
目標の91%到達が課題/市水道部21年度
水道施設から家庭などに供給している水道水が、実際に使用されて収益金となった比率を示す「有収率」が、2021年度は88%だったことが市水道部(兼島方昭部長)のまとめで分かった。消火栓水量や漏水など、収益金にならない水量を差し引くと年間で約79万トンが「無効水量」とみられている。有収率は前年度に比べ約3%向上したが、市の総合計画に示されている91%到達が課題となっている。
有収率は、合併前の伊良部佐良浜地区で50%台と低水準だったことから、市水道局(当時)は水道水の安定供給と有収率向上を目指し水道管の取り替え工事などを実施した。
その結果、工事完了後の2007年度には70%台に回復、12年度には83%台にまで向上した。
ただ、県内では90%台を維持している自治体が多く、特に都市部で高くなっている。家々が密集しており、管路の距離が短く漏水箇所が比較的発見しやすいことなどが要因とみられている。
市の有収率は過去5年間で84%~88%で推移している。市水道部では有収率を向上させるため、19年度から年間約3000万円の予算を投入し、宮古一円で漏水調査委託業務を実施。探知機などを使って漏水の早期発見に努めている。
しかし、漏水の度合いが大きければ音で発見しやすいが「漏水音が小さい場合にはなかなか発見しにくい」(市水道部)
また、漏水箇所を修繕すると水圧が一時的に高くなり、その影響で別の古い管に負荷がかかりさらに漏水を招くという堂々巡りが続いている。
市水道部の兼島部長は「有収率は水道事業の経営に影響が出る。まずは目標の91%を達成し、それを維持、向上させていきたい」と話している。