繁栄感謝し豊作を願う/多良間でスツウプナカ
魚供え祈りささげる/コロナで3年連続規模縮小
【多良間】竜宮の神へ五穀豊穣(ほうじょう)と集落の繁栄を感謝し、向こう一年間の豊作と豊漁を祈願する伝統行事「スツウプナカ」が8日、村内4カ所の祭場で行われた。各祭場ではこの日のために準備された神酒やシュリ魚を神にささげ、豊作や繁栄を願った。新型コロナウイルス感染拡大の影響で3年連続で規模を縮小しての開催となった。
スツウプナカは、八月踊りと並ぶ島最大のイベント。1983年に村の無形民俗文化財に指定されており、長瀬川宗根(ナガシガーシュニ)、札屋宗根(フダヤーシュニ)、南宗根(パイジュニ)、新池宗根(アレーキシュニ)の4祭場で行われる。
アレーキシュニのブシャ座はこの日までに七日神酒(ナンカミス)を準備した。ブシャ座一長宅に集まった座員らは七日神酒を仕込むために米を炊き、麹(こうじ)を混ぜ、昔から伝わる「花水」と「石」を借りるために自然井戸(シュガーガー)へ出向き、酒と塩を供え井戸の神様に祈りをささげた。
ナンカミスは麦麹を水で溶き、麦を取り除いた麹水を炊いて冷ました白米に混ぜて神酒を仕込む。また、前日には蒸した芋と麹水を混ぜる神酒も作った。この2種類の神酒がスツウプナカでは使用された。
4つの祭場で行われる「暁願い(アカツキノニガイ)」のうち、字塩川のパイジュニでは中老座のある大木公民館に午後10時ごろ、神酒を造るブシャ座の座員らが集合。供え物を確認し、ブシャ座と老人座の座員が数カ所の祭場で祈りをささげた。祭場では6人の長老らが神歌(ニィリ)を歌い、神酒を飲んでいた。
ブシャ座で30年以上関わっている比嘉清作さんは「天気が荒れており心配だったが、無事終了し安心している。来年こそはコロナが収束し盛大にスツウプナカができることを願っている」と話した。
スツウプナカは新型コロナの感染拡大防止のため、3年連続で規模を縮小し、初日の暁願い(アカツキノニガイ)のみを実施した。