沿岸海域が国定公園に/宮古島市
環境省、指定候補地へ選定/市「うれしいニュース」
八重干瀬や池間島、宮古島の一部地域などを国定公園指定に向けて動き出していた宮古島市に14日、うれしいニュースが届いた。環境省が国定公園の新規指定候補地として宮古島を選定。エリアは、宮古島沿岸海域で八重干瀬や池間島、伊良部島、大神島、来間島など周辺離島の沿岸海域も対象となる。この報告を受けた市教育委員会の生涯学習振興課は「宮古全体への拡大は大歓迎」と話した。
指定の理由について、環境省では「国内最大規模となるサンゴ礁群である八重干瀬(やびじ)等があるほか、優れた景観を有する自然砂浜、マングローブ林、広大な海藻藻場が分布し、干潟は渡り鳥の重要な渡来地となり、ウミガメの産卵地としても重要と位置付けている」としている。
市では、これまで八重干瀬を中心とした周辺地域について国定公園指定に向けて、環境省と県を交えた協議を行ってきた。
市ではこのエリアに関して、22年度当初予算で自然環境調査費として約7000万円を計上し、自然環境などの調査を実施するとしていた。
しかし今回、環境省が候補地として指定したのは、市が予定したエリアだけでなく、宮古島市全体に拡大した内容となった。
同課の梶原健次課長は「宮古全体を国が評価してくれた内容なので、とても歓迎している。今回、候補地に選定されたことにより当初想定していたよりも早めに指定されると思うので喜んでいる」と話した。
今回、環境省では新規と既存の候補地を含め14の地域を選定。国立・国定公園の指定状況を全国的に見直すのは2010年以来12年ぶりとなっている。
政府は30年までに陸と海の30%以上を保全する目標を打ち出しており、今回の措置で保護地域を拡充する。
国立・国定公園の区域内では、開発が規制されるため、同省は今後、各候補地について地元の合意形成や具体的な区域の検討を進め、30年に向け順次指定、拡張を目指すとしている。
梶原課長は「指定されると『いろいろな規制がかかるのでは』と、特に漁業者は心配するかもしれないが、漁業者の意見をしっかり聞くことになっているし、すでに既存の国定公園となっている場所でも配慮もされているので安心してほしい」と話した。
さら観光関連についても「貴重な観光資源を守りながら持続的に観光振興を図るためにも国定公園になることは有効。ルールを守っている業者にとっては歓迎されることだと思う。ぜひ、理解と協力をお願いしたい」と呼び掛けた。
市では今後、国定公園指定を経て、将来的には国立公園への格上げを目指していくとしている。
国定公園とは、国立公園に準ずる優れた自然の景勝地で、都道府県の申し出により、環境大臣が自然環境保全審議会の意見を聞いて指定する。
現在、国立公園は34カ所、国定公園は58カ所。国内では陸域の20・5%、海域の13・3%が保護地域。