不利性解消事業「農家への影響大きい」/市長、支援の後退懸念
内容変更受け見解示す/市議会6月定例会
県産農水産物の輸送費用を支援する「農林水産物流通条件不利性解消事業」で内容が変更されることに伴い、座喜味一幸市長は15日、「市内の農家への影響は大変大きい」との見解を示し、同事業が後退することのないよう「県知事サイドにもしっかりと中身をチェックするよう提言した」と明らかにした。開会中の市議会6月定例会一般質問で前里光健氏への答弁。
同事業は、2012年度から10年間の計画で開始。今回、沖縄振興特別措置法が延長されたことで、制度自体は残ったものの、内容や補助単価が変更されている。
単価は、これまで宮古島から出荷する場合、1㌔当たり航空便の花卉(かき)き・水産物は最大140円、それ以外は同115円、船舶便を使用する場合、モズクは同15円、モズク以外は同35円だった。
今回の変更で、農林水産物を沖縄本島へ出荷する場合も新たに輸送費補助の対象となったほか、市町村が指定する1次加工品も支援の対象とされた。
また、航空便と船舶便で補助単価の区別がなくなったが、県外に宮古島から出荷する場合の単価は1㌔当たり65円で、従来の航空便利用に対する補助単価と比べ減額となった。
一般質問で前里氏は同事業について「これまで市長は同事業について取り組んできていたが、(今回の変更は)理想とする内容となっているのか。どう考えているのか」と質問した。
座喜味市長は当初、県からの情報で対象作物の拡大、過疎離島においては沖縄本島まで認められなかった輸送費の拡大、加工品等の拡大ということだったので期待していたという。
しかし、新たな制度設計の内容について、▽現場と合わない輸送費の単価設定▽コールドチェーン体制▽新たな事務作業の増加│などを上げ、「スピーディー、効率的に事業ができるのか(分からない)」と懸念し、「(今回の変更は)宮古にとってはそぐわない」との考えを示した。
さらに「もう一度原点に戻り、しっかりと見直さなければならないと思う。2023年度の同事業などに関しては問題点を整理し、予算の確保も含めて変えていかなければならないと思う」と述べた。