水道水から微量の農薬/地下水や尿からも検出
「健康への影響懸念」/地下水研究会
宮古島地下水研究会(前里和洋、新城竜一、友利直樹共同代表)は28日、県農業共済組合宮古支所会議室で会見し、2021年11月に宮古島市内で採取した地下水、水道水、市民の尿からそれぞれ微量ながらも複数の農薬成分が検出されたと公表した。検出されたのはネオニコチノイド系とフェニルピラゾール系の成分。同会では「広範囲に及ぶ地下水複合汚染が示唆されるとともに、慢性暴露による子供たちの健康への影響が懸念される」と警鐘を鳴らした。
調査は咲田川湧水や保良ガー、平良下里の水道水など計10カ所で実施。化学農薬濃度測定を専門の分析機関に依頼したところ判明した。主にサトウキビに用いられる農薬となっている。検出量は1リットル当たり多いところで180ナノグラムパ-ミリリットルとなっている。
同会では多量の農薬の地下水への負荷と地下ダム止水壁による自然の水循環破綻により浄化機能が低下したことで、「地下水の科学農薬濃度が非常に増加しやすい環境になっている」と指摘した。
ネオニコチノイド系農薬などによる健康への影響として▽自閉症スペクトラム障害▽肥満・メタボリック症候群・糖尿病▽パーキンソン病▽慢性腎臓病│の発症リスクの可能性があるという。
予防原則に基づき早急な対策が必要として、行政に対し▽地下水水質モニタリング調査を行っている採水地点などでの農薬濃度調査▽農薬散布時期や降雨後等を考慮した年間モニタリング調査│を早急または定期的に実施し、結果を市民に公表することを求めた。
前里、新城両共同代表も見解を述べた。