最高裁、高裁判決を破棄/伊良部島断水訴訟
今後、差し戻し審へ/賠償責任の有無再審理
2018年のゴールデンウイーク期間中に伊良部島の南区で発生した断水問題で、島内で宿泊施設等を営む2法人が期間中に発生した損害の賠償を宮古島市に求めている訴訟は19日、最高裁判所第3小法廷(林道晴裁判長)で判決言い渡しが行われ、これまでの「市の重過失は認められない」とする高裁判決を破棄し、福岡高等裁判所に差し戻す判断が下された。
今回の判断を受けて、市の伊川秀樹副市長は「判決文の内容について精査している途中であり、コメントは差し控えたいが、今後のことについては顧問弁護士の意見をうかがいながら適切に対処したい」との見解を示した。
原告側の法人代表の1人は「この問題は前市長時代の問題なので現在の座喜味一幸市長が水道施設の管理をしっかりとやってくれれば良いとも思っている。最高裁の判決が出て差し戻されたので、今後は平和的な解決に向けてお互いが歩み寄れたら良いとも思っている」と話した。
今回裁判の争点となっている市の水道事業給水条例の16条では、1項で「給水は、非常災害、水道施設の損傷、公益上その他やむを得ない事情および法令またはこの条例の規定による場合のほか、制限または停止することはない」とし、3項では「1項の規定による給水の制限または停止のため損害を生ずることがあっても、市はその責めを負わない」としている。
この条項が「給水義務の不履行に基づく損害賠償責任を免除した規定であるか否か」が判断され、1審では市の重過失は認められず、2審でも「重大な過失となると評価することはできない」として控訴は棄却されていた。
しかし、最高裁の判決は「原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反があり、原判決は破棄を免れない」としている。
さらに、市の給水義務の不履行に基づく損害賠償責任の有無については「(当時の断水が)災害その他正当な理由があってやむを得ない場合に該当するか否かなどについて、さらに審理を尽くした上で判断すべき」としている。
当時の断水は、4月27日午後~5月1日未明までの間に継続的に発生し、ゴールデンウイーク期間中ということもあり、島内の観光施設などは混乱した。
この断水により営業損害等が発生したとして、水道事業を営む市に対して原告側の2法人は約160万円と約190万円の賠償を求めている。