アパート・2次交通が不足/嶺井公庫宮古支店長
民間の住宅や車両活用提案
沖縄振興開発金融公庫宮古支店長の嶺井忍氏は、島内経済の喫緊の課題としてアパート不足と2次交通不足を挙げ、解決に向け民間住宅の有効活用や市民または企業が保有している車をカーシェアとして登録し提供することを提案した。
6月30日に地域の経済動向や各業界のニーズを把握するために開催された「沖縄公庫・宮古経済ワイドー懇談会」の中での意見を整理した上で、宮古毎日新聞社の取材に答えた。
嶺井氏は、アパート不足についてはコロナの影響によりストップしていた経済が動き出し、島外採用のスタッフ用と大型ホテル建設作業員用の需要が同時期に発生していることが原因と分析。「企業はスタッフを採用したいが、島内での募集は限界があり、沖縄本島・県外、あるいは海外からスタッフを採用したいが、そもそも住まわせる住居が無いので採用募集がかけられないという状況に陥っている」と現状を指摘した。
その上ですぐに対応できる対策として▽古くて活用されていないアパートをリニューアルし稼働させる▽子供が独立し使わなくなった2階部分・離れ部分をリニューアルし貸家として提供する―との考えを示した。「この方法だとコストも少なくて済むのでリニューアル費用を金融機関から借入しても採算が取れ、副収入として老後資金の足しになると思う。利用されていない既存施設の有効活用としてSDGsの観点からも有効」と持論を述べた。
2次交通不足については、「コロナ禍で、タクシー運転手が大量に離職した影響や、レンタカーの更新投資を見送っていたことによる車両不足の影響が大きい」と解説。「同時に洗車・配車に従事するスタッフの人手不足により、レンタカーの提供が追いついていない状況となっている」と語った。
課題解決に向けては「タクシー運転手の増員、レンタカーの増車については、それぞれ事情があり早急には問題解決は難しい。レンタカーは、住民あるいは企業が保有している車をカーシェアとして登録し、スマホアプリを使って車を提供するカーシェアの活用で解決できるのではないか」と提案した。
「自身の車を登録すれば提供可能なサービスで、平日使っていない車や2台保有しているうちの1台をカーシェアリングに提供することで、市民所得の向上にも寄与すると思う。企業は休日には使用しない車を登録し活用することで副収入も見込める」と語った。
嶺井氏は「問題の根本はいずれも人手不足に起因している。問題を解消するには住居を増やせば良いのだが、離島ならではの建築コスト高により収支が回らないため、容易に新築アパートを建設出来ない現状。提案した解決策などで住居が見つかれば島外からも働く人が訪れるため、人手不足解消にもつながるのではないか」と述べた。