肉用牛競り 子牛価格が低迷
飼料高騰、ダブルパンチ/冬場に期待も不透明感漂う
JAおきなわ宮古地区本部の2022年9月期肉用牛競り市で、子牛1頭当たりの平均価格が50万円となり5カ月連続で下落した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で値下がりした20年5月期の53万円をさらに下回った。「10月競りでは40万円台になるのか」「飼料高騰はいつまで続くのか」。農家の懸念は続く。関係者は冬場に掛けての牛肉需要の高まりを期待するが不透明感が漂う。
子牛価格は今年1月から4月までは70万円台の高値を維持。しかし、5月競りで60万円台に値を下げた。6、7月でも回復せず、8月には50万円台になった。9月は前月比4万円安と下げ幅は縮小したものの40万円台目前の50万3291円となった。
前年(21年)は1月から9月までは60万円台後半の月が3回あったものの残りの月はすべて70万円台で推移した。
前々年(20年)の5月は新型コロナの影響で大幅な下落が懸念されたが、50万円台と持ちこたえた。
JAおきなわ宮古地区畜産振興センター長兼畜産部長の下地隆弘氏は「昨年までは、新型コロナが収まれば持ち直すのではないかという期待感があり、それなりの価格で推移してきた」と指摘。「しかし今年はウクライナ情勢に伴い飼料が高騰。コスト削減のため、結果的には子牛価格の急落につながったのでないか」と分析した。
今後の見通しについては、冬場に向けての肉需要に期待するも「飼料の高騰がいつまで続くのか読めない状況」と話した。
市は畜産飼料高騰対策として一括交付金を活用し、1頭当たり▽繁殖牛1500円▽子牛4800円▽肥育牛1万2200円│の助成を予定。来年3月末までに取りまとめ支給する方針だ。
また、母牛を導入する農家に40万円を上限とした助成を実施している。
下地氏は、子牛価格の急落と飼料高騰は、小規模経営の宮古の畜産農家には「ダブルパンチ」となっているとし、国が本腰を入れて農家救済に乗り出してほしいと要望。畜産農家には「補助金などを活用し、ピンチはチャンスと捉える」などと述べ、前向きな発想で逆境を乗り越えてほしいとエールを送った。