子孫と島の繁栄祈願/来間島の「ヤーマスプナカ」
旧暦9月の甲午(きのえうま)の日に行われる来間島の伝統行事「ヤーマスプナカ」が8日に同地区であった。この日は、3兄弟の家元で子孫繁栄を祈願する「サラピャース」と「マスムイ」の儀礼が行われ、この1年間に誕生した子供を先祖に報告しながら神酒を飲み、子孫繁栄と島の発展を願った。
昨年に引き続き、今年も新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、規模を縮小しての開催となり、2日目に行われる島内を練り歩く恒例のパレードは今回も見送られた。
ヤーマスプナカは、子孫繁栄や無病息災、五穀豊穣(ほうじょう)を祈願するもの。来間島を救い、繁栄させたと伝えられる3兄弟の家元(長男スムリャーブナカ、次男ウプヤーブナカ、三男ヤーマスヤーブナカ)を中心に祭事が行われる。
このうち、次男のウプヤーブナカの家主、砂川輝夫さん宅では、午前8時40分ごろから「サラピャース」が始まり、住民らに神酒が振る舞われた。
子宝に恵まれた1年を祝い神酒を回し飲む間は、老若男女を問わず全員で神詩を歌い、生まれた子供の健やかな成長を願った。
この後、マスムイが行われ、この1年で生まれた子供6人の名前が紹介された。
家主の砂川さんは「生まれた子たちが将来、大きく羽ばたいて来間島のため、世の中のために活躍することを家主と祈願する」とあいさつした。
誕生が報告された6人のうち、津嘉山悠愛ちゃんと来間琉翔ちゃんの2人が両親と一緒に祭りに参加した。
2人の父親らがあいさつに立ち、新しく生まれた命を島全体で温かく見守ってくれる島民の気持ちに感謝の言葉を述べた。
現在は浦添市に住む悠愛さんの父・大志さんは「祖母が島の出身で最初の子どもの時もこうして盛大に祝ってもらった。3番目が生まれた時にも必ず参加したい」と話した。
妻の陽菜さんも「生まれた子どもが、みんなから『かわいいね』と言われてうれしい。本当に島全体から愛されていることを感じることができる良い祭りだと思う」と笑顔になった。