県有地明け渡し 双方の主張平行線/下地島空港周辺利活用説明会
耕作者「生活今後どうなる」/県側「確認書」の存在強調
下地島空港周辺用地の利活用に係る説明会(主催・県、宮古島市)が16日、伊良部公民館で行われた。県は今後の利活用事業を推進していくため、現在無償で耕作を行っている県有地の明け渡しを求めたのに対し、耕作者らは「われわれの生活はどうなる」と反発。双方の主張は平行線をたどった。県が求める明け渡しの期限は2024年3月末。
下地島空港周辺の県有地については1971年、当時の琉球政府が下地島地主会との間で同空港建設に伴う用地買収の「確認書」を締結している。県はその確認書に基づき、「無償耕作は認めるが明け渡し時に補償は行わない」方針を示している。丁寧な説明と対話を継続する考えだが、確認書に基づき利活用を進めていくとしている。
説明会で県はまず、同空港および周辺用地の利活用▽第1期(航空パイロット養成、航空旅客ターミナルの整備・運用)▽第2期(下地島宇宙港事業)│の概要を紹介。第3期では「航空」「航空人材」「通信」「観光リゾート」の利活用候補事業の全体スケジュールなどを示した。その後、同利活用事業に係る土地の明け渡しについての説明に入り、「これまで事業を実施してこなかったが、今後事業をするので明け渡しをしてほしい」と要望した。
質疑応答で出席者から「段階的明け渡し」を求められたのに対し県は「約束はできないが、事業計画をしている事業所と今後のスケジュールなどを含めて調整していきたい」と述べるにとどめた。
さらに「明け渡しによって生活がどう変わるのか。農家に寄り添った実態調査や意向調査を実施し、耕作者の抱えている問題を把握してほしい」と呼び掛けたが、県は土地の明け渡しを約束する「確約書」に盛り込まれている耕作面積、耕作している農作物を記入すれば「一定程度把握できるのではないかと考えている」と述べた。
「日々生活している農家の熱い思いをくみ取って、納得する答えを出してほしい」と訴える声も。同空港および周辺用地で事業を展開しようとする事業所の計画だけを尊重するのではなく、県が主体性を持って耕作者の立場で進めるべきだと主張すると、賛同する拍手が湧いた。
県有地の明け渡しをめぐっては10月26日に市議団が県土木建築部に「下地島空港周辺の県有地明け渡し問題に関する要望書」を提出した。市議団は「50年間も(耕作を)認められてきたので、今は戸惑っている状況だ」などとして明け渡しに伴う生活への影響を懸念。丁寧な説明や対話を通して、互いの考えと立場を理解しながら進めてほしいと要望した経緯がある。