中学人権作文コン 全国大会で法務副大臣賞/西辺中3年の上原さん
いじめから解放の体験記す/「逃げ『決断』で今がある」
第41回全国中学生人権作文コンテスト中央大会(主催・法務省、全国人権擁護委員連合会)の表彰作品発表が3日に行われ、県代表作に選出されていた西辺中学校3年の上原美春さんの作品「決断」が法務副大臣賞を受賞した。自身が受けたいじめ体験について記した作品が受賞したことについて上原さんは、同じ苦しみを感じている人が作品を読むことで、その苦しみから少しでも解放されてほしいとの思いを語った。
今大会には全国6582校の76万8623人から応募があり、審査の結果、90作が中央大会表彰作品に選ばれた。上原さんが受賞した法務副大臣賞は、内閣総理大臣賞、法務大臣賞、文部科学大臣賞に次ぐ賞となる。
上原さんは「決断」と題した作文で、小学生時代にいじめで苦しんでいたが、そこから「逃げる」という決断をしたことで苦しみから解放され、今を生きることができているとして、「痛みに耐えるだけが美徳ではない」との考えを示し、今の自身の夢を「誰かの逃げ道を作れる人になること」などと記している。
上原さんは3日、市未来創造センターで本紙などのの取材に応じ、今回の受賞について「自分の体験をつづっただけだったので、県代表になることも想像していなかったため、とてもびっくりしている」と話す。
作品については「読んだ人が、今苦しんでいたり、いじめられたりしているのなら、その苦しみから少しでも解放されたり、逃げるという選択肢を持ってもらえれば良いなと思いながら書いた」と説明。さらに「書いている時は思い出して泣いたりもしたが、吐き出すことで自分の中の傷が少しでも癒えるのではないかとも思う」と語った。
今後の抱負としては「怖い体験をすることが嫌なので、ウクライナが大変な状況にある今、私なりに世界が平和になるように、頑張って平和に関する作文をいっぱい書いていきたい」との思いを述べた。
上原さんは2021年の県平和祈念資料館「児童・生徒の平和メッセージ」詩部門中学校の部で最優秀賞を受賞し、同年の沖縄全戦没者追悼式で受賞作を朗読したほか、同作で22年の第1回ひろしま国際平和文化祭の「ひろしまアワード音楽部門国内の部」を受賞している。