島素材、全国に発信
一席の高杉さんら表彰/第6回宮古島文学賞授賞式
第6回宮古島文学賞(主催・市文化協会)の授賞式が4日、市未来創造センター多目的ホールで開催され、一席の高杉晋太郎さん(62)=大阪府=らに表彰状が贈られた。会場には関係者らが集まり、受賞者をたたえるとともに同文学賞の発展に期待を込めた。
受賞作の「ソラピーの夢」は、仲宗根豊見親が宿願である先島諸島の支配権確立のため、石垣島や与那国島で戦いを繰り広げる物語。ソラピーは仲宗根豊見親の幼名という。
高杉さんは「素晴らしい賞をいただき、うれしく思う。観光で何度も訪れるうちに、沖縄の歴史に興味を持った。宮古島の島主をテーマに書き、史実と史実の間に妄想でつないで物語を構築した。受賞できたのはテーマ(島主)がかさ上げしてくれたと感じている」と喜びを表現した。
「島」をテーマとした短編小説が対象となる宮古島文学賞。昨年10月に募集が行われ、17都道府県から60作品の応募があった。1次、2次選考を経て8作品に絞り込み、最終選考会で受賞作が決まった。
高杉さんのほか、二席には見坂卓郎さん(39)=神奈川県=、佳作には宮古島出身の玉元清さん(76)=北中城村=が選ばれている。
主催者を代表して饒平名和枝会長は「島を素材に多彩な物語が紡がれ、素晴らしい作品が選出された。宮古島文学賞が多くの皆さんに愛されるよう全国に向けて発信したい」と述べた。
椎名誠選考委員長は「宮古島文学賞では初の時代劇。海の合戦を描くなど勇猛果敢な素晴らしい展開があった。今後の作品に期待している」と評価した。
授賞式は新型コロナウイルスの影響で4年ぶりに開催された。表彰後には、椎名選考委員長が「本を書くこと 読むこと」をテーマに講話した。