863億円が地域外に/市が地域経済アンケート
移輸入の割合増加/「経済の漏れ」実態明らか
市が実施した地域経済の見える化アンケート調査で地域経済全体として需要増加に対し、市内の生産ではなく地域外からの移輸入によって供給を賄う状況となっており、「経済の漏れ」の実態が明らかになった。市の試算では全産業合計で863億円が漏れていると推測されることから、市では2023年度に詳しく要因分析を行い、漏れ穴をふさぐための取り組みを検討していく方針だ。17日、開会中の市議会3月定例会で山下誠氏の質問に宮國範夫産業振興局長が答えた。
同アンケート調査は地産地消による地域経済循環システム構築事業の一環として市の産業構造や地域経済の流出などの状況を把握することを目的に22年10月末から23年1月末にかけて実施。市内の事業者や農家を対象に約200件の回答などを得た。またアンケート調査に加えて、国の統計や市の決算データなどの情報をもとに15年と20年を分析し、比較検討を行った。
市の15年の経済需要額は約4347億円だった。20年には約4798億円と約451億円(約10%)増加している。この総需要に対して、市内の生産と移輸入で必要な物やサービスを供給するが、市内の生産は15年の約2705億円から20年の約2879億円と約174億円(約6%)の増加に対し、移輸入は1642億円から約1919億円と約277億円(約17%)の増となっている。
これは地域経済全体の需要増加に対し、市内の生産だけでは足りず、地域外からの移輸入によって供給を賄っており、地域の中に金が入ってきたとしても市民の生活や事業活動に必要な物やサービスを地域外から購入することで地域内に金がとどまらない状況。
山下氏は「アンケートで外に頼る構造となっている。経済の漏れバケツ理論となっている。調査結果を踏まえて漏れバケツからの脱却対策は」と質問した。これに宮國局長は「調査結果で市民生活や事業活動に必要な物を地域外から購入する割合が高まったことが判明した。最も大きな要因が食料品の181億円。市民所得向上のため食の地産地消を推進していくことの有効性が確認できたと考えている」と述べた。
また、座喜味一幸市長は「漏れ経済の傾向は離島になればなるほど強い。食料品を年間で安定供給する仕組み作りなど方向性が見えると具体的に市民所得10%向上につながると思う」と話した。