牛・馬の「と畜」できず/今月から沖縄本島移送
対応策、費用負担は調整中/宮古食肉センター
宮古食肉センターで行われてきた牛や馬の大型家畜の「と畜」が実施ができない状況に陥っている。新年度からは沖縄本島に移送してと畜し、再び島に戻す流れとなり、その費用負担がどうなるのか、関係者の間で不安が広がっている。JAおきなわ関連法人部の宮里忍部長は「輸送方法や費用の協議を行っている。今後のスケジュールや具体的な対応策が決まり次第、情報の提供や(地元で)説明会を開催していきたい」と述べた。
こうした状況になった背景には、これまで同センターで牛や馬の大型家畜のと畜を行ってきた担当者と、新年度からの契約が結べなかったことが要因としている。
関係者によると、3月17日までは通常通りだったが、同20日から担当者不在となって島内では牛、馬のと畜ができない状況になっているという。
移送費の負担について宮里部長は「1頭当たり、どの程度の費用になるのかを含めて、コストの計算や見積もりを行っている段階。その数字を把握した上で負担先をどうするのかも協議していくことになると思う」と話した。
そのほかにも、同センターでと畜ができる5人のうち、大型動物は1人しかできない状況となっていたことも課題として浮かび上がった。
大型の牛や馬は、作業工程も多く、ある程度の技術が必要だが、その技術習得の人材育成が進まなかったという。
こうした背景について宮里部長は「後任の人材育成を含め、その体制が整っていなかった。これから移送費の問題を含め、人材育成についても急ピッチで進めたい」と話した。
今後、同センターの職員を沖縄本島に派遣して大型動物のと畜技術を取得させるために研修を実施する予定となっている。
豚やヤギのと畜については、従来通り対応できるとしている。
株式会社の同センターは、宮古牛のブランド化の確立と輸送コストの低減など、畜産振興に寄与する目的で1982年に設立。2016年に現在の場所(上野野原)に整備・移転。衛生的で効率的な食肉処理施設として、消費者に安全で安心な食肉供給を行っている。