患者が安心して暮らせる島に/若年性認知症
パネリストが課題指摘/家族会設立記念しシンポ開催
宮古島市で「若年認知症家族会」が立ち上げられたことを記念したシンポジウムが20日、市未来創造センター研修室で開催された。「若年性認知症になっても安心して暮らせる宮古島を目指して」をテーマに、全国若年認知症家族会・支援者連絡協議会(東京都)の梅原早苗さんら4人のパネリストが、医療・介護従事者を対象に同認知症の家族の生活や支援制度の課題などを紹介した。
シンポジウムは、これまで宮古島になかった若年性認知症家族会を立ち上げるに当たり、活動を広く知ってもらう目的で開催された。梅原さんの他に、県外で若年性認知症に関する支援活動を行っている多田美佳さん、中川絵里子さん、中島七海さんがパネラーを務めた。
多田さんの夫は若年性アルツハイマーと診断された後、介護保険利用についても前例がないと利用できるサービスがなく、小規模多機能ホームを利用するも「二度手間になるから」と、希望した作業をさせてもらえないなど、不安症状が強くなっていった。2人の息子も、父親の送迎や着替えの手伝いなど介護の負担が多くなっていったという。
夫が51歳の時、認知症専門病院へ入院することになり、多田さんは家族だけの介護やヤングケアラーへの理解がない周囲の言葉、仕事と介護の両立などで精神的に追い詰められていった。
多田さんは夫のそばについて一緒に走る「ラン伴走」に家族で参加したことをきっかけに「夫を不幸な人、かわいそうな人で終わらせたくない。夫や家族が体験したことを生かしたい。本人や家族が安心して暮らせる地域を作っていきたい」と考え、家族を再構築したいと思うようになった。
その思いから、居場所づくりとして「一般社団法人はるそら」を設立。若年性認知症の本人、家族、専門職の人などが一歩を踏み出すための「作戦会議」ができる場所として、本人の希望する生活や家族の安心のための支援を行っていることを紹介した。