子どもの発達や行動学ぶ/保育実践研究セミナー
質の高い保育提供へ
保育士ら250人参加/東大大学院准教授が講演
保育実践研究セミナーin宮古島(主催・心愛保育園)が3日、市未来創造センター多目的ホールで開催された。東京大学大学院教育学研究科准教授の野澤祥子さんが、子どもの発達や行動について解説した。保育士ら約250人が参加して、講演に耳を傾けた。
野澤さんは「発達の道筋から子ども理解を深める~これからの時代の保育に向けて~」をテーマに、子ども理解と発達の原理などについて語った。
乳児期では、基本的信頼と基本的不信が対立し、信頼が上回ると希望が生まれるとして、肯定的か否定的かが分かれ目になることを強調した。
乳児が恐れや不安を感じた時に、特定の人にくっつきたいと願う行動を「アタッチメント」といい、安心感の回復や維持につながっているという。
「いざとなったらくっつける」という見通しが自発的探索を支えており、「1歳ぐらいから期待する気持ちがある。何かあったら先生が助けに来てくれるから大丈夫と、感じるような安心を作っていくことが大事だ」と話した。
幼児前期は自立性が育つ時期であると同時に、恥や疑念が生じると説明。これを自立性が上回ることで「意志」が生まれるとして「幼児の『自分の足で立ちたい』という願いは周囲の環境によって応援される必要がある」と語った。
同セミナーは、保育園での虐待事件や不適切保育の事例が報道されていることを受け、このような事態が起こらないよう発達の道筋から理解を深めるために、初めて開催された。
主催者を代表して心愛保育園の砂川美恵子園長は「不適切な保育が行われないよう、保育士が不安感を払拭(ふっしょく)し、自信と誇りを持って楽しく保育ができるようにこの研修で学びを深めたい。子どもたちのために質の高い保育を提供しよう」と語った。
講演後は、野澤さんと社会福祉法人和光会の志賀口大輔理事長が対談した。