ほ場整備事業に遅れ/作付けできず農家憤り
市、受益者に計画変更説明へ/下地竹アラ地区
下地の竹アラ地区ほ場整備事業で、当初予定していた2024年度完了からずれ込み、早くても25年度以降になることが分かった。現在の工事進捗(しんちょく)率は52.3%(予算ベース)となっている。受益農家は畑地が使えず、さらに整備が遅れる可能性に憤っており、市に対して早期の工事完了を求めるとともに、作付けできない状況を考慮し、何らかの対応策の検討を訴えている。一方で市は計画変更について受益者に対して説明会を開催し理解を求めていくとしている。
同事業は下地小学校の南側にある土地約1000平方メートルの畑地整備事業で1、2工区に分かれており、2021年度から工事に着手。21年度から23年度までの3年計画でその後、畑地かんがい施設工事が計画されているという。
しかし、ほ場整備事業で工事に遅れが発生していることから、かんがい施設工事の着工がずれ込み、24、25年の2年計画へ変更となった。同事業は総額5億4200万円。
担当する市農村整備課によると今年度中にかんがい施設工事の実施設計に入り、できるだけ早く工事を完了し受益農家に引き渡したいとしている。また、ほ場整備工事が遅れている理由については「工事カ所は水はけが悪く、湧き水もあり、肥料の散布もできない状況だったため、畑の下に排水施設を設置し、排水性を向上させる工程が増えたため」と説明した。
一方、同事業は工事が完了した畑地から順次、受益農家に引き渡す計画で、早ければ今月中旬から作付けができるよう引き渡す予定だった。しかし、現在は農道も完成しておらず、農地についても約70センチ~1メートルの段差がある。一部を農地として使用させるというがこのままではトラクターやハーベスターも入れない状況となっている。
それを解消するため市では8月に工事を発注し、年度内に段差を解消するための工事を完了させたいとしている。
工事完了の遅れが発生する可能性について受益農家は「当初は21年度の1年間で終わるとの説明だった。1年間だけならなんとかなるが、もう2年以上も遅れている。その間作付けもできず収入もない。そもそもこの工事を早期に完了させる気があったのか。工事の完成時期をはっきりとしてほしい」と憤るとともに、「2年ほど農地が使えていないのに負担金を払っている。市長は所得10%向上というが10%以上マイナスとなっている。このような状況が続くなら市としても何らかの補償をするなど対応してほしい」と訴えた。