明け渡し期限1年延長/耕作者「納得できない」
県が説明会、理解求める/下地島空港周辺利活用
下地島空港周辺用地の利活用に係る説明会(県主催)が24日、伊良部公民館で行われた。県は同空港の利活用を改めて説明するとともに、計画している利活用事業を推進していくため、現在無償で耕作を行っている耕作者に県有地の明け渡しを求めた。期限についてはこれまで県が求めていた2024年3月末から1年延長して25年3月末までとした。一方、耕作者らは同空港建設の土地買収時に、伊良部地区の振興策や雇用の創出なども話し合われたがまったく実現しなかったと強調し、明け渡しには「納得できない」と強く反発。双方は従来までの主張を繰り返して平行線をたどった。
下地島空港周辺の県有地については1971年、当時の琉球政府は下地島地主会との間で同空港建設に伴う用地買収の「確認書」を締結している。県はその確認書に基づき、「無償耕作は認めるが明け渡し時に補償は行わない」方針を示している。丁寧な説明と対話を継続する考えだが、確認書に基づき利活用を進めていくとしている。
説明会で県はまず、同空港および周辺用地の利活用▽第1期(航空パイロット養成、航空旅客ターミナルの整備・運用)▽第2期(下地島宇宙港事業)│の概要を紹介。第3期では「航空」「航空人材」「通信」「観光リゾート」の七つの利活用候補事業の全体スケジュールなどを示した。
質疑応答で出席者の一人は「これまで県議会や宮古島市議会、地域住民からも疑問の声が上がっている。そういった声をすべて無視して土地を奪うのか」と訴えた。これに県は「確認書の約束に基づいて土地を返還してほしい」と答えた。
別の参加者は確認書には下地島地主会と琉球政府の空港建設に伴う提示条件に「伊良部村(当時)の地域性、産業構成からして土地を失うことは農家にとっては死活に関する最重要な問題。地主の永久の生活安定の礎となるべき生活基盤の確立のため、政府は周到な施策と強力な援助をしてもらいたい」と記載があると指摘し、「利活用計画の中で地元住民の生活・要求を重視してほしい」と求めた。
このほか、「土地買収時に県は雇用250人の創出や伊良部島の振興策を実施するとの話をしたが、実際に振興策などはされていない」と主張。「県が約束を履行していない状況なので土地を明け渡すことはできない」と話した。
県は今回の説明会で出た意見や要望について検討を進め、必用なら再度説明会を開催するとしている。