宮古島市を脱炭素先行地域に/環境省
第4回募集で提案選定/下地、狩俣地域で事業実施
環境省は7日、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させる「カーボンニュートラル」の実現を2030年度までに目指すと同時に、地域の魅力と暮らしの質を向上させる全国モデルとなる「脱炭素先行地域」の第4回募集の結果として宮古島市などの提案を選定したと発表した。対象地域は下地と狩俣の2地域で25年度からの事業着手を計画している。
脱炭素先行地域とは、民生部門(家庭部門、業務その他部門)の電力消費に伴う二酸化炭素排出の実質ゼロを実現し、運輸部門や熱利用等も含めてその他の温室効果ガス排出削減も地域特性に応じて実施する地域。
環境省は22年1月から第1回選考を開始。第4回は今年8月に募集を行い、62の地方公共団体から提出された54件の提案から12件を選定した。県内から選定されるのは与那原町に次いで2例目となる。
宮古島市は、ネクステムズ、SocioForward、宮古島未来エネルギー、沖縄電力との共同で「『千年先の、未来へ。』脱炭素エコアイランド宮古島」と題した計画を提案した。
計画では来間島での「地域マイクログリッド構築支援事業」(経済産業省)の実証成果を発展させ、来間島を含む下地地域と狩俣地域を対象エリアとして、太陽光発電と蓄電池、電気自動車(EV)、省エネ機器、蓄熱冷凍冷蔵設備などを最大限導入し、エネルギーマネジメントシステム(EMS)により効率的なエネルギー使用を行う「脱炭素グリッド」の構築に取り組む。
さらに、エリアの区域境界で電力の潮流計測を行い、脱炭素グリッド内の分散型電源にリアルタイムで充電・放電指令を出すことで、エリア内の再生可能エネルギー地産地消を実現させ、脱炭素グリッドを核に「エコアイランド宮古島」をさらに進化させて、成長する観光業と共存する形で持続可能性向上、郊外農漁村地域の活性化実現を目指す。
対象となる施設数は、住宅1757戸、民間施設297カ所、公共施設28カ所。対象施設に太陽光発電と蓄電池のほか高効率給湯器とEV充電器を導入するほか、調光可能なLED照明と高効率エアコンの普及を促進させ、EMSにより電力需要のエネルギーマネジメント制御などを行う。
そのほか、「動く蓄電池」として188台のEV導入、狩俣の漁業加工場へ蓄熱性が高い急速冷凍冷蔵設備を導入することによる漁業廃棄削減などにも取り組む。
25年度から事業着手し29年度末までの完了を目指す。