市、「脱炭素」の島実現へ/先行地域として施策展開
24~28年度、総事業費67億円/環境省選定で会見
環境省の「脱炭素先行地域」の第4回募集で、宮古島市の計画が選定されたことを受けて9日、市と共同提案者が市役所で会見を開き、脱炭素の島実現に向けてエコアイランド宮古島をさらに進化させ、観光業とも共存しながら各種取り組みを展開していく決意を示した。先行地域は下地と狩俣地区で、事業着手は2024年度。28年度末までの完了を目指しており、総事業費は67億円を見込んでいる。
市は、ネクステムズ、SocioForward、宮古島未来エネルギー、沖縄電力との共同で「『千年先の、未来へ。』脱炭素エコアイランド宮古島」と題した計画を提案し、選定された。
対象となる施設数は、下地、狩俣両地域の住宅全戸となる1757戸(下地1448戸、狩俣が309戸)。民間施設237カ所(下地199カ所、狩俣38カ所)、公共施設26カ所(下地20カ所、狩俣6カ所)
会見で座喜味一幸市長は「持続可能で活力ある地域社会を実現できる。そのほかの地域にとってもモデル事業になると思うので、脱炭素エコアイランド宮古島に取り組んでいきたい」とあいさつした。
ネクステムズの比嘉直人社長(宮古島未来エネルギー社長)は「この取り組みは市全体にも広げていきたい。われわれグループとしても県内各離島にこの取り組みを展開していきたいと考えているので、ぜひ成功させたい」と意気込みを示した。
そのほかの共同提案者からも、先進的な取り組みが評価され選考地域に選定されたことを喜ぶとともに、しっかりと取り組んでいく決意を示した。
計画としては下地、狩俣両地域を対象エリアとして、太陽光発電と蓄電池、電気自動車(EV)、省エネ機器、蓄熱冷凍冷蔵設備などを最大限導入する。
このエネルギーマネジメントシステム(EMS)により、効率的なエネルギー使用を行う「脱炭素グリッド」の構築に取り組み、エリア内の再生可能エネルギー地産地消を実現させていく。
さらに、それを進化させて成長する観光業と共存する取り組みも展開し、郊外農漁村地域の活性化実現をも目指すとしている。
具体的には、188台のEV導入で、観光客との地域住民がカーシェアを行う計画や地域内の空き家を再エネ・省エネ改修を行い観光客や住民の宿泊施設として活用する取り組みなども説明された。
そのほかにも、狩俣の漁業加工場へ蓄熱性が高い急速冷凍冷蔵設備導入で、漁業廃棄削減などにも取り組む計画も示された。