「マエミーを教訓に」2003年台風14号/20年経過、防災へ提言
現場体験者が当時振り返る/パネルディスカッション
「マエミーから20年 過去の災害から学ぶ~台風14号における行動の記録」と題したパネルディスカッションが25日、市未来創造センター多目的ホールで開かれた。宮古島に甚大な被害をもたらした2003年の台風14号から20年が経過し、災害現場に立ち会った4氏がそれぞれの立場から改めて振り返りながら防災について考え、教訓として生かすよう提言した。
パネリストは元県宮古支庁長・元宮古島市副市長の長濱政治氏、市消防本部の古謝博由消防署長、宮古テレビの奥濱真一郎報道部長、宮古島地方気象台元次長の棚原聡氏、コーディネーターは県宮古事務所の長濱為一所長が務めた。
台風14号は9月10日から12日にかけて宮古島地方を直撃し、最大瞬間風速74.1メートルを記録。建物損壊や自動車横転、高潮、多くの電柱がなぎ倒され、甚大な被害が出た。県がまとめた被害額は国、沖縄電力、NTT関係を除いて131億円に上り、停電、断水、通信障害が長期間続いた。
棚原氏は台風発生から暴風警報発令、解除までの気象台の動きを振り返り「20年経って近年は雨戸のない住宅が増えてきている」と警鐘を鳴らした。
奥濱氏は当時の取材・報道の様子を説明し、強風の中を、一時帰宅した同僚社員があおられて車が畑に吹き飛ばされた事や全国放送のテレビ局からの問い合わせに不眠状態で対応したことを紹介した。
古謝氏は実際の119番通報の音声を紹介した。9月10日夕方から11日正午までの通報は86件あり、ガラスの破損(家屋損壊)が49件だった。「ほとんどが窓ガラスが割れて負傷した人や住宅が壊れて救出を求める通報だった。すべてに対応することはできず、口頭で止血を指導した」と話した。
長濱氏は県や市町村が取った対策を説明した上で停電対策の重要性を指摘。「電柱が倒れると停電になり、救助にも支障が出る。電線類の地中化を急ぎ、併せて電柱の強度化も考えていくべき」と話し、農作物への被害を軽減するために防風林・防潮林整備の重要性も指摘した。