日本初確認のカニ発見/宮古テレビの砂川部長
宮古の雑木林内で撮影/和名「カバアシアシハラガニモドキ」に
日本で初確認となるベンケイガニ科の一種がこのほど、宮古島の汽水域に面した雑木林内で見つかった。この種の従来の記録では、スリランカから台湾までは生息していることは分かっていたが、日本での確認記録はなかった。今回の発見で日本にも生息していることが明らかになった。また、和名もなかったことから「カバアシアシハラガニモドキ」と名付けられた。甲羅の大きさは、2.9センチ×3.6センチ程度。
この国内初確認のカニは、宮古テレビコンテンツ事業部部長の砂川栄喜さんが映像コンテンツを増やすために今年8月、陸に住んでいるカニを撮影した映像の中に含まれていた。
種類が分からない種については特定生物(稀少種、天然記念物指定種、外来生物など)の調査を行っている「かんきょう社」(浦添市)の前之園唯史社長に同定を依頼した。
この結果、これまで国内に記録のない種であることが確認され、和名もなかったことから前之園さんにより、脚が樺色(かばいろ)をしていることから「カバアシアシハラガニモドキ」と名付けられた。
さらに、砂川さんの撮影した画像には、沖縄本島や石垣島などで生息は確認されているものの、宮古島では目撃情報しかなかった「ヒメアシアシハラガニモドキ」と「シロテアシハラガニモドキ」の2種も含まれていたことから、確実な生息記録として発表された。
宮古島ではこれまでベンケイガニ科が標本に基づいて23種記録されているが、これで26種類が生息していることが確認された。
前之園さんと砂川さんは共同研究を行い、この日本初確認の1種と宮古島初確認2種について報告する論文が1日にサイト名「AquaticAnimals」でウェブ発表されている。
4日、宮古テレビで行われた会見で砂川さんは「この島の身近な環境で日本初確認の種が生息していたことに驚いている」と話した。
一方で「今、島は海岸線を中心にすごいスピードで開発が進んでいるが今回のこの発表を通して、未来に禍根を残さないよう調和のとれた取り組み(開発)について、考えるきっかけになればうれしい」と、島の環境保全の大切さも訴えた。