救急出動件数 初の4000件台に/23年度市消防本部
水難救助の多様化で急増/市長、増員の必要性強調
近年、市消防本部の救急出動件数が急増している。2023年度は12月時点で約3900件に達しており、初めて4000件を超えることが14日までに分かった。これまで遊泳中の溺水者などが中心だった水難救助活動が多種多様となっていることが要因。本紙の取材に座喜味一幸市長は「消防行政の充実が必要だ」と述べ、消防職員を増員する考えを示した。緊急出動件数については、14日の市議会(平良敏夫議長)12月定例会一般質問で平良和彦氏が質問した。
市消防本部によると、救急出動件数は消防署だけで月200件程度。各出張所を加えるとさらに多くなることから初の4000件台は目前となっている。18年は3353件で、この5年で700件以上増加することとなる。22年度は3924件だった。
これまでの救助活動は、シュノーケルなど遊泳中の溺水事案などが中心だったが、近年はサップやウィンドサーフィン中に流されるなど海洋レジャーの多様化、救助事案の変化がみられるなど、出動範囲も広がっているという。
宮國和幸消防長は一般質問の答弁などで、「この5年で業務内容が変化している。多種多様化した災害事案に対応するため、これまで以上に訓練を行っている」と説明した。ただ、勤務中は出動に備えているため本格的な救助訓練は勤務明けの休みを利用せざる負えない状況で、「職員の負担になっている」という。
職員に必須の消防学校研修派遣などで慢性的欠員が生じるほか、今後は県の防災ヘリ導入計画に係る職員派遣などによる欠員も見込まれるという。宮國消防長は「国が推奨する男性の育児休暇取得なども見据え増員が必要だ」と強く訴えた。
座喜味市長は一般質問終了後、本紙取材に「高齢化や観光客など移動人口の増加により、さまざまなニーズが出てきている。安心安全なまちづくりに向け消防行政の充実は必要だ」と述べた。