「希少種、多く分布」/生物多様性の価値示す
国定公園指定へ市民説明会/八重干瀬周辺の自然環境現況調査・市教育委員会主催
市教育委員会(大城裕子教育長)は27日、「2023年度八重干瀬および周辺地域自然環境現況調査業務」の市民説明会を市未来創造センターで開いた。市民約100人が調査結果などの発表に聞き入った。琉球大学理学部教授でシンク・ネイチャー代表の久保田康裕氏は八重干瀬周辺の生物多様性の価値について「陸の保全優先度は国定公園、国立公園の価値に十分値する」と説明した。
同説明会は、将来の国定公園指定に向けて22年度から実施している同調査の事業成果を公開し、より多くの市民に八重干瀬と宮古の自然環境を知ってもらう機会にすることが狙い。
大城教育長は「宮古の自然環境を守っていくために、市民一人一人が『私の宮古島』という意識を持って島と向き合うことが今求められている。しっかり現状を見て把握することが自然や文化を守り後世に引き継いでいく重要な一歩になる」と強調した。
説明会では、自然公園財団の古仲信昭氏が「国立公園、国定公園とは~宮古島沿岸海域の国定公園新規指定に向けて~」、県環境科学センターの佐川鉄平氏が「これまでの調査結果(海域、陸域、景観要素)」、久保田氏が「宮古島の生物多様性を見える化してネイチャーポジティブを推進する」と題してそれぞれ発表した。
古仲氏は国定公園指定のメリットについて、「資源が保全されることで、持続的に観光などで活用していくことができる。国定公園として国内外にアピールすることで認知度が上がり誘客にもつながる」と述べた。
オンラインで発表した久保田氏は、機械学習AIを使って八重干瀬の生物多様性の「見える化」ができたとした上で、「陸の保全優先度は、やんばる国立公園にほぼ匹敵する。種数は少ないが希少種が多く分布し国定公園、ひいては国立公園の価値に十分値する。海域では、特に十分な調査努力がなされているイシサンゴ類は種数、保全優先度ともに西表石垣国立公園に次ぐ値だ」と説明した。