分離飼育で感染抑制/先進地の対応事例学ぶ
牛伝染性リンパ腫で講義
近年、感染が増加している牛伝染性リンパ腫(牛白血病)について学ぶ講義とシンポジウムが30日、JAおきなわ宮古地区本部であった。宮崎県で感性抑制に成果を上げている宮崎大学産業動物防疫リサーチセンターの目堅博久准教授が講義、宮崎、熊本両県の関係者が対策と取り組みを紹介した。目堅氏は感染した牛は非感染牛と分離して飼育することで感染を抑制できるなどと紹介した。会場には多くの畜産農家が集まり、牛伝染性リンパ腫の現状について学んだ。
牛伝染性リンパ腫は1927年に国内で初確認された疾病。98年には家畜伝染病予防法の届け出伝染病に指定された。2020年に牛白血病から名称が変更された。牛伝染性リンパ腫ウイルス(BLV)によって感染し、削痩、起立不能、脱水、下痢・便秘などの症状が出る。2000年ごろから届け出数が急激に増加し、近年では4000頭を超える届け出がある。国内では九州・沖縄など暖かい地方の感染率が高い。
感染牛の7割は無症状でリンパ球数も正常。3割は外見上変わらないが、リンパ球数が増え、ウイルス量も多く、乳房炎になったり枝肉量が減少したりする。1~5%が感染から数年後に全部廃棄や死亡する最も重い症状になるという。
目堅氏は感染経路ついて吸血昆虫、接触、分娩(ぶんべん)舎の共有、注射針使い回しなどの獣医療行為、母子感染、子宮内感染を挙げ▽高リスク牛と非感染牛を離して飼育する▽血液・体液が付着した物を使い回さない▽高リスク牛を繁殖に用いない-などの対策を紹介した。まとめとして「対策は感染状況の正確な把握から始まる。導入牛は必ず自農場に到着後に検査」と呼び掛けた。