死亡災害「緊急事態」/宮古労基署
今年度3件発生で危機感/各団体に労災防止対策要請
宮古島市内で今年度3件の死亡災害が発生している状況を踏まえ、宮古労働基準監督署(井上茂樹署長)は8日、島内の災害防止協会など3団体に対して災害防止対策の徹底を要請した。要請は平良地方合同庁舎で行われ、井上署長から3団体の代表らに要請書が手渡された。同要請は陸上輸送についても行われる。井上署長は今年度中に死亡災害が3件発生している状況を「非常事態」と強調し、「相当の危機感をもって労働災害防止に努めていく必要がある」と訴えた。
要請したのは県労働基準協会宮古支部(渡真利勝支部長)、建設業労働災害防止協会県支部宮古分会(平良正樹支部長)、港湾貨物運送事業労働災害防止協会沖縄総支部宮古支部(砂川勝義支部長)。また、陸上貨物運送事業労働災害防止協会県支部宮古分会(城間正昭分会長)にも同様の要請を行う。
今年度中に発生した大きな産業事故は昨年6月に一般港湾運送業の男性がフォークリフトに巻き込まれ死亡した。また、今年1月にはサトウキビの運搬作業を行っていたブルドーザーに巻き込まれ、男性が死亡している。2月には宿泊施設建設現場の外部足場から男性が転落し死亡した。
同署管内では1999年から2022年までの24年間で10件発生。これは2年半に1件のペースで発生したという。しかし、今年度は3件も発生している。要請で井上署長は「ゆゆしき事態。労働災害を個別に見ると基本的な安全管理の取り組みが徹底されておらず、安全衛生管理体制がおろそかになっている状況が懸念される」と指摘した。
それを踏まえ▽フォークリフトや車両系建設機械等を用いて作業を行う場合には原則として立ち入り禁止を徹底するとともにあらかじめ作業計画を定める▽高所作業を行う場合には原則として墜落防止のための足場や手すりを設置するとともにこれらを設置することが著しく困難な時にはハーネス(墜落制止用器具)を必ず使用させる-ことを「傘下の関係者に呼び掛けてほしい」と求めた。
建設業労働災害防止協会県支部宮古分会の親泊秀人事務局長は「墜落・転落災害、建設機械・クレーン等災害、崩壊・倒壊災害(建設業の)三大災害を徹底して無くすことを心掛けたい」と話した。