シェルター整備加速/政府
台湾有事念頭に方針公表/宮古など先島5市町村
政府は29日、国外からの武力攻撃を想定した避難シェルターの整備方針となる「基本的考え方」を公表した。宮古島を含む先島諸島の5市町村を対象に、2週間程度の滞在が可能な「特定臨時避難施設」を新設すると明記。今後、台湾有事を念頭に各自治体と設置に向けた調整を加速させる。
これまでの宮古島市に関する動きでは、昨年6月に座喜味一幸市長が防衛省に市の新総合体育館整備と共に、緊急的な避難施設となる地下施設の早期整備を要望。
今年2月には、防衛省の補助金で同体育館の解体設計と地質調査費用として2100万円が盛り込まれた。
新総合体育館整備については本体工事や解体工事、実施設計などを含めた総事業費は81億円を見込んでいる。工期は2024~27年度の4年間を計画。RC造(鉄筋コンクリート造)の地上2階に加え、地下1階に緊急一時避難機能を持たせた駐車場(想定100台)を整備する。
2022年末に改定した国家安全保障戦略は、「武力攻撃より十分に先立つ住民避難」を可能にするため、「さまざまな種類の避難施設の確保」に取り組む方針を打ち出した。政府はこれを踏まえ、沖縄県内の各自治体からシェルター設置の要望を聴取していた。
特定施設は、市町村が国の財政措置を受けて公共・公用施設の「可能な限り深い地中」に設置。平時は会議室や駐車場などとして利用することを想定している。
整備要件は①離島に所在するなど「避難の困難性」がある②全住民の避難を想定した計画を作成、公表し、国と都道府県による国民保護訓練を実施している-ことで、石垣市、宮古島市、竹富町、与那国町、多良間村が該当。原則は島外への避難だが、誘導に従事する行政機関の職員や、速やかな行動が困難な高齢、障害者らを収容する。
政府は併せて、特定施設の仕様を定めた「技術ガイドライン」も策定した。弾道ミサイルや航空攻撃など4類型の武力攻撃を想定し、壁や床の厚さは原則30センチ以上の鉄筋コンクリート造りと規定。飲食料備蓄やライフライン整備、1人当たり2平方メートル程度のスペース確保も求めた。
シェルターの類型には、コンクリート建物や地下鉄駅など一時的な避難先に活用する「緊急一時避難施設」もあり、既に全国の約5万6000施設(23年4月1日時点)が指定されている。
◎シェルター整備方針ポイント
一、「特定臨時避難施設」を新設
一、2週間程度の滞在可能な施設
一、沖縄県の先島5市町村が対象
一、公共・公用施設の地下に設置
一、弾道ミサイル、航空攻撃など想定