陸自配備は緊張高める/東アジア共同体研究所講演会
鳩山由紀夫氏ら講演
東アジア共同体研究所講演会in宮古島(主催・同実行委員会ほか)が26日、JAおきなわ宮古地区本部大ホールで開かれた。元首相で同研究所理事長の鳩山由紀夫氏が「東アジア共同体構想」、同理事の高野孟氏は「中国脅威論の嘘(うそ)を暴く」をテーマに講演した。鳩山氏は「武力で平和は作れない」と主張。「中国脅威論」に疑問を呈し、宮古島への陸上自衛隊ミサイル部隊配備は緊張を高めるとの考えを示した。
鳩山氏は最近の世界情勢について、国や地域の境界を越え世界単位で物事を考えるグローバル化が行き過ぎた結果、利益が一部に偏る状況が生じ、自国の利益を最優先するナショナリズムが求めれるようになっていると分析。それらの問題を解決するため方法として地理的に近い国々で共同体を形成する「リージョナリズム」を挙げ、東アジアでその共同体を形成したいとの考えを示した。
「中国脅威論がまかり通っていることそのものが問題」と語る鳩山氏。抑止力として宮古島へ陸自ミサイル部隊を配備することは相手国にとって、けん制と捉えられ緊張感が高まり、相手がさらに抑止力を高めるという「抑止力のパラドックス(逆説)」が生じ、その結果、ささいな衝突が戦争の引き金になりかねないと警鐘を鳴らす。その上で「宮古島にミサイル部隊が本当に必要なのか真剣に考えてほしい」と呼び掛けた。
また、日本が平和を維持するためには東アジア周辺国と協力体制を築くことが重要との認識を表明し、「沖縄が東アジア共同体の中心的役割を果たすべき」と語った。
高野氏は、現在、政府が進めようとしている南西諸島への防衛強化について、旧ソ連崩壊に伴い余剰となった北海道の陸自部隊の新たな配備先として、「中国脅威論」を理由に計画されたものとの考えを示す。ミサイル発射訓練を繰り返す北朝鮮が平時に日本を攻撃する可能性について「アメリカに北朝鮮を攻撃させる理由を与えてしまう」と否定的。平和維持のために日本が行うべきことは、万一、アメリカが暴走しそうになった時、東アジアで一体となってアメリカを止めることとの見解を述べた。
会場には多くの市民が来場し、両氏の話に聞き入っていた。