大田元知事しのび県民葬
首相参列 翁長氏「平和の心受け継ぐ」
【那覇支社】平和行政の推進に尽力し、米軍基地の整理縮小に取り組んだ故大田昌秀氏の県民葬(実行委員会主催)が26日午後、宜野湾市の沖縄コンベンションセンターで執り行われた。安倍晋三首相や翁長雄志知事、鶴保庸介沖縄担当大臣をはじめ、県内外の各界代表、一般県民ら約2000人(主催者発表)が参列し、大田氏の多大な功績をしのんだ。
大田氏は県知事や参議院議員など要職を歴任し、沖縄の振興発展や基地問題、平和行政の推進に尽力した。6月12日、呼吸不全と肺炎のため92歳で死去した。
式辞に立った翁長知事は、沖縄が抱える諸問題の解決に心血を注いだ大田氏の功績を振り返りながら、「沖縄の基地負担の軽減が国政の場で取り上げられるようになったのは、間違いなく大田さんの決断によるものだ」と強調した。
その上で、「終生貫かれた『平和を愛する共生の心』の理念を受け継ぎ、未来を担う子や孫が心穏やかに笑顔で暮らせる沖縄を築き上げるため、一丸となって絶え間ない努力を続ける」と誓った。
次いで、安倍首相が「常に県民を思いやり、沖縄の平和追求へ生涯を捧げられた大田元知事の姿や信念は、人々の胸に生き続ける」。さらに「心を砕かれていた沖縄の基地負担の軽減についても、引き続き全力を尽くし、沖縄の振興をさらに前に進め、沖縄の明るい未来の構築に貢献していく」と追悼した。
実行委員会らの代表献花の後、元知事の三男、大田秀明さんが「父は沖縄戦を体験したことが人生の転機となり、平和に対する強い思いを持つようになった。戦争がなければきっと別の人生があったのではないかと思う。安易に妥協することなく、最後まで平和を求めて生き抜いた」と謝辞に立った。