無料塾定着、子に光/学習支援
2施設とも定員達す/新たな教室設置も視野
就学援助を受けている子どもが通う宮古島市の学習支援教室(無料塾)が定員に達している。開所1年の施設Aで68人、同半年の施設Bでは52人が学習支援を受けている。市は「支援教室を必要としている子どもは多い」と分析。新たな教室の設置について検討を進める方針だ。生まれ育った環境に左右されない教育環境が、整いつつある。
無料塾では、学習支援として学校の宿題や受験勉強をサポートする。生活指導も行うほか、毎日軽食を出すなどして温かい空間と居場所を提供している。
施設Aは昨年6月2日に開所、同Bは今年1月6日に開校したばかりだが、教室の支援内容は口コミで瞬く間に広がり、両施設とも開所短期間で定員の50~60人に達したという。
無料塾に通う児童生徒からは「教室に行くのが待ち遠しい」といった声が寄せられ、父母からは「成績が上がった」「学習への意欲が高まった」「生活にメリハリが出た」「本当にありがとう」といった感謝の言葉が届いているという。
この春には、15人が高校受験を突破した。うち2人は宮古高校の理数科に受かるなど、学習支援の成果も着実に表れている。
市の担当職員は「それぞれのスタッフの皆さんの指導が素晴らしい。子どもたちを温かく見守ってくれている。こういう環境があるから教室が続くし、子どもたちが安心できる」と施設の対応に感謝を込めた。
また、福祉部の下地克浩次長は「支援教室の周知に伴い、二つの施設とも満員の状況にある。教室を必要とする子どもは潜在的にいると思う」と話し、無料塾の必要性を強調した。
課題としては送迎にかかる時間を挙げた。送迎は相談に応じて施設側が行っているが、「教室のメインの取り組みは学習支援と居場所支援にある。この部分がおろそかにならないように保護者の皆さんの理解をいただきたい」と話し、父母らの送迎協力を求めた。
無料の支援教室は内閣府沖縄子どもの貧困緊急対策事業を活用して開設。市が補助を受け、各教室の運営を民間委託している。
支援の対象は、▽生活困窮状態にある世帯の小中高校生か、特別支援学校生▽就学援助受給世帯▽市長が支援が必要と認める世帯-など。塾に通わせる余裕がない世帯などの子を迎え入れて学習支援を行う。
教室は日曜日以外の週6日開く。開講時間は下校時から午後9時まで。小学生は週1回か週2回、中高校生は週3回通える。
教室は定員に達しているが、受け入れに関する相談には応じている。問い合わせは、市福祉政策課(電話73・1981)まで。