牛乳提供に黄色信号/学校給食
2学期以降「未定」に/酪農業者の施設競売で
来月1日から各小中学校の2学期がスタートするが、給食における牛乳の供給に黄色信号がともっている。宮古で唯一の酪農牧場の土地建物が先月競売にかけられ、落札されたことで、この牧場の9月以降の事業継続について見通しが立たない状況となっている。市教育委員会が給食について契約している県学校給食会のアンケートに対してこの牧場は「9月以降の供給については未定」と回答しており、宮國博教育長は「今の段階では2学期以降の生乳(牛乳)供給の見通しは立っていない」と話した。
宮古では、宮古で唯一の牛乳加工業者に対して、同牧場が生乳を提供する流れで学校給食に牛乳が供給されている。
同牧場については、7月上旬に土地と建物が競売にかかり落札され、設備と乳牛だけでは事業継続が困難な状況となり、今後の事業運営の見通しが不透明な状況となっている。
こうした状況について、宮國教育長は「この問題は土地建物を買った人と牛を持っている人との今後の話し合いなので、私たちが現段階でどうこう言える状況にはない」と述べた。
さらに、「もしも調整できずにこの牧場の経営が困難な状況になって生乳の供給できないとなっても、給食会に対してはできるだけ生乳の提供を求めていくことしかできない」と話した。
一方で宮國教育長は「生乳に関しては見通しは立たないが、加工乳であれば何とかなる。9月以降生乳の確保が難しければ、とりあえず加工乳で対応することになる」と述べた。
給食における加工乳の提供について、仲宗根均教育部長は「県内で学校給食に加工乳を提供している学校はないと聞いている。当面は加工乳で対応するが、できるだけ早い時期に生乳にするよう給食会には求めていきたい」と話した。
島内での生乳確保が困難となり、沖縄本島から仕入れる場合については「費用が発生するのでそれが給食費に転嫁されることは難しいと思う」と述べた。
そのほか、仲宗根教育部長は「この企業間のやり取りに教育委員会が入るべきかとの議論もあったが、ビジネスの話の中に入り込むことはやめた方がよいとの判断になった」と説明した。
7月の落札後、各方面で生乳確保に向けたいろいろな動きが展開されているが、23日現在でも安定供給に向けた体制構築には至っておらず、今後の動向が注目となっている。
生乳と加工乳 乳牛から搾ったままの牛の乳が「生乳」で、牛乳は、この生乳を加熱殺菌したもの。水や添加物を一切加えず、生乳100パーセントのものだけが「牛乳」。
「生乳」に乳製品を加えたものが「加工乳」。バターやクリーム、脱脂粉乳を加えて成分を調整し、脂肪分を調整している。